Journal of East Asian studies

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Journal of East Asian studies Volume 16
published_at 2018-03

Re examination of the matrilineal inheritance of the Miao embroidery : a case study of Xijiang, Qiandongnan Miao and Dong Autonomous Prefecture, Guizhou, China

苗族刺繍の母娘伝承を再考する : 中国貴州省黔東南苗族侗族自治州西江鎮を事例として
Yang Meizhu
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2.7 MB
D300016000002.pdf
Descriptions
本論文は、中国貴州省黔東南苗族侗族自治州、雷山県西江鎮西江千戸苗寨の刺繍を研究対象とし、苗族の刺繍伝承のあり方を再考するものである。これまでの研究において苗族の刺繍伝承方法は、主に母から娘への伝承、すなわち母娘伝承を中心とするものがほとんどであった。だが本論ではフィールド調査に基づき、同時代の女性による影響が少なくなく、刺繍技法という観点に立てば、むしろ母娘伝承は同時代の女性による伝承方式の1部分に過ぎないことを指摘する。すなわち、それはかつての刺繍の「母娘伝承」を改めて「同時代の女性」という観点から再考することを意味している。本論内では複数の事例を以下のように整理し議論を進める。調査地における3人の女性、楊A、李C、宋Aの親族関係図をとおして、西江の母娘伝承を実証的に明らかにした後、楊Aと宋Aのライフステージを娘→結婚(坐家を含む)→母という3つの段階に分ける。その上で刺繍の伝承において、母、母系親族、あるいは夫方の親族、姉妹、女性の友人、同じ村の女性など、いずれも同時代に生活している女性から刺繍が伝承されている状況を技法の伝承という視点から示す。刺繍の伝承において、母、娘、オバ、親戚の女性、女性の友人はどれも1人の女性として、同時代に暮らしている女性の中の一員に他ならない。すなわち、母から娘へと刺繍技法が伝わるということは同時代の女性による伝承と考えられ、これまで一般的であった「母娘伝承」を承認したうえで、「母娘伝承」を「同時代伝承」の1部分であると改めて位置づけることで、苗族刺繍の伝承のあり方を再考する。
Creator Keywords
苗族
刺繍
母娘伝承
同時代伝承