本稿は近代日本の中国語教育の関係書を対象に、当時学習された擬声語を考察するものである。そのために、本論は35年の間隔で出版されたテキストの『萬物聲音』と『北京語の味』を取り上げて、擬声語を例とする語群の形態構造、意味分野を説明する。その上で、当時の現実の中国語と対照して、外国語として教授された中国語擬声語の一斑を解明する。『萬物聲音』と『北京語の味』における中国語擬声語は各自の特徴を持っているが、近代日本で教授された中国語の情況を反映する点で一致する作用を持つ。しかし、擬声語の音形式の使用の自由度及び意味分野の分布から見ると、それらの使用率は比較的なコントラストを示している。また、当時の現実の中国語と対照してみると、『萬物聲音』と『北京語の味』に載っている擬声語は型の多様性及び使用頻度のバランスが失われている傾向が見える。しかし、擬声語の特徴を解明するために、さらに音節パターン・音韻構造も考えられなければならない。そのため、未来の課題は本論の考察の上で、擬声語の語義と音韻の関係を検討することを通して、近代日本人が持つ中国語の語音認識の特徴を深く解釈して、そこに存在する変化・発展の情況を説明することである。