本研究では幼児における生物学的知識の獲得の実態を呼吸を事例として調査した。被験者は幼稚園の年中児(4・5歳)30名、年長児(5・6歳)31名、小学校1年生30名、2年生32名、4年生31名から構成された5集団、計154名であった。調査は(1)人間における呼吸の機能とその生物学的意味、(2)呼吸のような生体機能の意志からの相対的な自律性、(3)人間以外の対象への呼吸の属性付与の3つの課題より構成され、すべて面接法で実施された。その結果、4・5歳の幼児においても、人間については素朴ではあるが生物学的な知識を獲得していることなどがわかった。