緒言 和牛蹄質の優否は直接和牛の労役に至大の影響を与えるものである。而して蹄質の優否は蹄壁を構成する角細管が大なる関係を有するものである。角細管の性状はまた蹄壁角質部結合層に存在する肉小葉の性状に密なる相関があると推論されている。よって見島牛、黒毛和種、褐毛和種及び無角和種について肉小葉の性状を詳細に観察し、更に角細管との相関について考察した。4. 摘 要 牛蹄角質部における肉小葉を組織学的に観察し次の成績を得た。 (1)肉小葉は蹄壁に向って葉状に配列する器官であるが,その形態特に肉小葉の先端の形状は,品種によって略々定まった形態を呈する。即ち無角和種及び褐毛和種は,一見,刀剣状を,見島牛は枹状,黒毛和種は円状を呈する。(2) 肉小葉の性状は角細管の性状と密接な相関を有することが窺知される。