Journal of East Asian studies

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Journal of East Asian studies Volume 2
published_at 2003-12

Social networks revealed form marriage registration : the case from Taikei, China

結婚台帳にみる社会的ネットワーク : 中国大慶市を事例として
Zhang Yunwu
Descriptions
ワースのアーバニズム理論の提出後、アメリカ・日本のような先進諸国において都市化と社会関係の関連性を解明するための研究が多く展開されてきており、都市化による社会関係の量的・質的変動は、先学たちの研究によってその実態が究明されてきた。本論文の研究目的は、先進諸国と異なる工業化・都市化過程、独自な歴史的・社会的文化を持つ中国都市社会における社会関係の実態を明らかにするところにある。中国都市においては、人口規模の拡大につれて、都市住民の社会関係は量的・質的にどのように変動しているのか、またその変動過程において、社会的接触と社会関係の性質がどのように変わっているのか、1960年以降、急激な人口増加を経験した大慶市を事例として、都市住民の社会関係の実態を結婚台帳を手がかりに考察した。主な分析結果は以下のとおりである。人口規模の拡大につれて、中国都市社会においては、a.親類・近隣・同僚・同窓・同郷・友人、いずれの類縁的な社会関係も量的に拡大している。b.中では同僚関係が人口規模の異なるどの年代においても規模が一番大きくて、変化が一番著しい。c.いずれの社会関係にも質的構成の変化が見られる。d.社会的接触は職業地位の高い都市住民に偏っており、しかも同じ職業地位にある都市住民の間での社会的接触が多い。e.社会的接触は精神的連帯から利益的結合へ変動している。これらの先進諸国と異なる人口規模の拡大による社会関係の変動は、中国都市住民の独自な生活様式、計画的に発展してきた都市の独自な成長過程に見られる政治権力の優位性によって引き起こされたと思われる。