本研究においては、思春期の子どもを持つ親の養育態度とその形成要因について明らかにすることを目的とした。中国及び日本における思春期の子どもを持つ親478名を対象として調査を実施した。養育態度に関する質問項目として、日常生活での子どもに対する評価の状況、関心度、厳格度、拒否度、干渉度などに焦点を当てた。その上で、こうした養育態度の形成に関わる要因について地域的な特徴の検討も含めて分析した。その結果、ある時代の一つの文化圏に所属する人々の間には、他と区別されるものの考え方や価値観があり、それが、養育態度に影響を与えていることが明らかになった。また、こうした親の養育態度の決定に影響を及ぼす要因としては、地域に特有の社会文化的要因のみならず、地域を越えた共通の普遍的な「家族」の要因も無視できないということが明らかにされた。