Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University

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Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 29
published_at 1979-12

How to Teach the Mathematics to Students

学生の数学教育における私見
Mizuno Y.
Descriptions
小・中・高の算数・数学教育研究会において,専ら議論されることはいかにして児童・生徒に数学的な考え方を身につけさせるか発見的・発展的あるいは創造的学習の指導はどのようにしたらよいかということである。算数・数学教育において,このことが大事であることは言うまでもないが,しかし,そのこと許りに気を配って(1)論理的記述や表現がきちんとできるか (2)定石的な数学のテクニックが身についているか (3)基礎的な計算能力は備わっているか 等等の,往年の数学教育で丁寧に扱われた部分が指導不十分になったのでは,教育の成果は上らない。書き振りが拙かろうが,論理形態が後先になろうが,大局的に大発見につながったり,素晴らしい直観が働くという人は,居ても一握りの天才(児,生徒)に限られる。生理的にアンティ数学である児童・生徒を大勢擁して行う授業にあっては,上の(1),(2),(3)が欠けると,結局つまずいてしまうことになり,切角やる気を起してみたが,矢張り数学は嫌いだということを再確認するだけで,創造どころではなくなってしまう。身についた定石が少いために人一倍苦労したり,計算ミスで労力が水泡に帰するようなことが度重なるからである。ところで,明日はその児童・生徒を育てる立ち場になる学生を,上のような見地から眺めてみたとき,多分に危惧の念を抱く。それは,上記の(1),(2),(3)に類することが,たとえ初歩的な内容であっても,もし学生自身に備わっていなければ,教壇に立って,子ども達を指導するときには急に,適切な指導ができるようになるとは思えないからである。大学で高度の数学を学べば,そんなものは自ら備わってくると考えられ勝ちであるが,残念ながらその期待は薄い1)。私は教育法を担当しているわけではないが,上記の理由から,講義やゼミであえて度度脱線