クロコブタケ属は100種以上からなる大きな属で,その子座は多くの樹種の枝幹に発生して大形で目につきやすい,日本ではシイタケ榾木を侵害する害菌として注目されている。日本産の種については,安田(1911-1923),伊藤・今井(1940)及び日野・勝本(1957,’58,’65)の報告があるが,種名や生態などについて再検討を必要とするものが多い。最近著者(1976)あるいは阿部ら(1978)によって日本産の確実な種が報告された。本報告では日本産クロコブタケ属菌のうちの11種を記載した。1. Hypoxylon fragiforme (P_<ERS>. Ex F_R.) K_<ICKX> アカコブタケ 子座は赤褐色,半球形で直径1.5-5mm,子襄胞子は10.5-14×6-7μm。ブナに発生。 2. Hypoxylon howeianum P_<ECK> ヒメアカコブタケ 子座は赤褐色,半球形,直径3-12mm. 日本ではしばしばアカコブタケと混同されてきたが,子襄胞子の大きさが,6.5-9×3-4μmとアカコブタケよりも小さいので容易に区別される。ケヤキ,アサガラ,ヤナギの1種,コナラ,その他多くの広葉樹に発生。 (以下,略)