Journal of East Asian studies

山口大学大学院東アジア研究科

PISSN : 1347-9415
NCID : AA11831154

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Journal of East Asian studies Volume 19
published_at 2021-03-01

A study of developing teacher's competencies for conduct a class of integrated studies : based on a survey of training program for elementary school young teachers, graduate student and undergraduate student

総合的な学習の時間を担う教師に求められる資質・能力の育成に関する研究 : 教職志望学生・若手教師を対象とした研修プログラムの実践から
Fujikami Mayumi
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1.37 MB
D300019000001.pdf
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総合的な学習の時間(以降から「総合」と表記)は、今日子どもたちに求められる資質・能力を育成するために重要な位置づけを与えられながらも、教師間格差や研修機会の欠如といった多くの課題を抱えていることが指摘され続けている。本研究ではまず、先行研究の精査を通して、そのような状況にある「総合」を担う教師に必要な資質・能力を明らかにすることを試みた。とりわけ村井や「みらいの会」の研究の比較検討からそれぞれの課題を浮かび上がらせ、より教育実践や研修プログラムの構築にとって指針的なものとなるような具体的な資質・能力の構造表を開発・提案した。大分類としては、「カリキュラム・マネジメント力」「単元デザイン力」「課題設定力」「環境デザイン力」「状況把握・対応力」「評価力」の6つの資質・能力を導出し、それらの具体的な資質・能力を提案した。さらに、その開発した資質・能力に基づいて、教職志望学生や若手小学校教員が抱える課題やニーズについて研修プログラムを通して調査を行った。教職志望学生や若手教師は、まず、「カリキュラム・マネジメント力」「単元デザイン力」「課題設定力」の獲得に意識が向いており、研修プログラム後、若手教師には「状況把握・対応力」も付け加わった。しかし、「評価力」はあまり意識されていなかった。意識する資質・能力には偏りがあることが明らかになり、「総合」の実践を積んだ年数や研修機会の差によって、意識し、獲得しようとする資質・能力にも段階があるのではないかということが示唆された。また、研修プログラムによって悩みや不安が解決されたと回答した資質・能力であってもそれに関わる研修を求める場合もあり、理解する段階と実践につなぐ段階には段差があるのではないか、その段差の大きさも獲得する資質・能力によって異なるのではないかということも示唆された。