都市と農村の格差は現代中国の最大の課題であると言われてきた。さらに、都市と農村との間の義務教育の格差が大きいという問題が指摘されてきたが、近年では政府により格差是正の取り組みが進められてきている。その結果、農村に重点的に教育投資が行われるようになってきた。本論文の課題はこうした農村義務教育への重点投資による施設・設備や教育人材の改善が実際の農村義務教育にどのような効果を与えているのかを、中国の最貧地区の一つとされる貴州省の現地調査を通して明らかにすることである。本論文では特に教育現場(小学校)の教師へのインタビューを中心にして、「教師から見た」農村義務教育の現状を明らかにする。