我々は、日常談話の中で他人のことを演じたり、他人にイメージを付けたりする言語行動を行うことがしばしば見られる。本稿では、テレビのお笑い番組を対象に、談話の流れの中で人間が持つキャラクタがどのように変化し、変化時にどのような役割語の使用及び発話キャラクタの表出があるかを観察する。その結果、他人や過去の自分のキャラクタを演じる【上演キャラ】と他人や自分に新たなキャラクタを付ける【付与キャラ】が検出された。これら発話キャラクタの表出は、キャラクタが特定の言語行動を行っている証拠であり、言わば動的な性質を持つ「動的なキャラクタ」であると判明できた。これは従来の研究で扱われてきた人間の属性における発話キャラクタ、言わば「静的なキャラクタ」とは本質的に異なる。