日本脳炎ウイルスの越冬問題を究明するのを最終目的として,今回は野外で捕獲したカエルからのウイルス分離を主目的として実験をおこなった。その結果を要約すると次のとおりである。1.カエル臓器より直接日本脳炎ウイルスを分離することはできなかったが,カエルの腎臓細胞の組織培養を実施中ウイルスを分離した。同定の結果日本脳炎ウイルスであることが判明した。2.日本脳炎ウイルスを分離したカエルはトノサマガエルであり,1973年6月山口大学周辺で捕獲したものである。3.カエル臓器の良効な組織培養法を開発するのは今後課題である。しかしながら今回われわれがおこなったトリプシン消化をせずに細切,磨砕した組織による培養法で培養が可能であり,実験に供することができた。しかも腎臓培養細胞で日本ウイルスが増殖することが判明した。(昭和49年6月30日受理)