Journal of East Asian studies

The graduate school of east asian studies, Yamaguchi university

PISSN : 1347-9415
NCID : AA11831154

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Journal of East Asian studies Volume 21
published_at 2023-03-01

A research on“ Deep learning” of the period for integrated studies : reification of learning to achieve“ Responsibility”

総合的な学習の時間に求められる「深い学び」に関する研究 : 「レスポンシビリティ」を果たす学びの具体化
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東アジア研究_第21号-002.pdf
「深い学び」を展開している子どもの姿を具体化せずには、本質的な授業改善には向かいにくい。本研究では、これまでの総合的な学習の時間(以降、「総合」と表記)を巡る議論や近年の学習論の知見をふまえ、「総合」で目指す「深い学び」の特質を整理し、その定義付けを行った。とりわけ、教育心理学や教育学において1970年代から注目されてきた「ディープラーニング」の概念と文部科学省が考える「深い学び」の比較を通して、「ディープラーニング」と「総合」は、どちらも真正の課題と子どもが向き合い、それらの課題解決に関与することで、自己肯定感や自己有能感を得ていくという類似性を有していることが明らかになった。また、「総合」において重要視されてきた「レスポンシビリティ」の概念は、「総合」の学びのあり方と関連付けて学術的に検討されてきていないため、「レスポンシビリティ」と「深い学び」の関係をとらえていった。そうする中で、「総合」で具現化する子どもの姿を現す鍵となる概念には、「自分ごと」「折り合い」「手応え」も付加されることを導出した。加えて、今後より予測困難で不確実、複雑で曖昧な時代になると予測される中で求められる資質・能力を検討し、改めて「レスポンシビリティ」の重要性を位置付けるとともに、他者の存在や「協働」が「深い学び」の成立条件となることを導出した。さらに、「総合」の先行実践において、「レスポンシビリティ」を果たす子どもの育成を目指していくために、「協働的な学び」を通して、どのような子どもの姿にたどり着くことをねらい、一単位時間の授業が行われてきたのかについて検討した。その検討を通して、「総合」における「協働的な学び」は、「概念」と「方略」の高度化を目指して設定され、「概念の高度化」は「対象や課題に対する概念」「自分や自分のあり方に対する概念」の高度化、「方略の高度化」は「対象や課題の本質への迫り方」「対象(人)や仲間との向き合い方」の高度化に分けられることが明らかになった。