Journal of East Asian studies

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Journal of East Asian studies Volume 10
published_at 2012-03

Research on T. Lickona's “Character Education”

T.リコーナの「キャラクター・エデュケーション」に関する研究
Machida Mariko
fulltext
2.1 MB
D300010000002.pdf
Descriptions
現在我が国の道徳教育は、「道徳的価値」を「教える」という教師主導の立場をとるか、あるいは児童生徒が主体的に「学ぶ」ことを重視する立場をとるかという点で対立しており、国内で道徳教育に対する方針が一貫していないという現状がある。一方アメリカでは、1990年代に少年犯罪が80年代と比べて急増する中、「道徳的価値」をしっかり「教える」ことを強調する「キャラクター・エデュケーション」が奨励され、成果を収めてきているという報告がある。したがって、この「キャラクター・エデュケーション」について分析・検討していくことで、日本の道徳教育の方向性について何らかの示唆が得られるものと考える。ここで我が国では、これまで「キャラクター・エデュケーション」に関する研究が、アメリカの状況や実践例の報告にとどまり、理論的な内容やその発展過程に関する検討はほとんどなされてこなかったため、この理論が「道徳的価値」を教えることのみを重視する教育方法として捉えられる傾向にあった。しかし人格教育運動の代表者であるトーマス・リコーナ(Thomas Lickona)の教育論を検討していくと、この理論が道徳を「教える」という授業方法と、児童生徒が主体的に「学ぶ」という授業方法とを統合した教育方法であることがわかる。したがって、本稿では、近年アメリカで注目されるリコーナの「キャラクター・エデュケーション」を検討し、彼の理論を明確にした上で、我が国の道徳教育においても、統合的を道徳教育が有効であるか検証することを第一の目的として行った。また、アメリカでは、日本のように特設の「道徳の時間」が設けられていないため、彼の理論を直接我が国の道徳授業に当てはめることは難しいと思われた。そこで我が国に応用可能な要素を彼の理論から導きだし、具体的方法として提案することを第二の目的として検討した。