The Grameen Bank as non-credit programs : borrowers education at the center level meetings

本稿の目的は、グラミン銀行におけるセンターレベルの集会には借り手を教育・訓練する仕組み、すなわち非金融プログラムが内在していることを指摘し、そのプログラムが借り手に及ぼす影響を明らかにすることである。筆者の調査により、借り手の意識と行動からそれらを分析する。本稿における主な分析結果は以下の通りである。（1）借り手は、大別すると、直接金融活動にかかわること、および直接金融活動にかかわらないことの両方を学習していた。（2）直接金融活動にかかわらないことは、大部分が「１６ヶ条の決意」に基づく内容であった。（3）借り手への集会からの影響は、相対的に「人的資本」および「人的ネットワーク」の方が、「所得」および「威信」よりも高かった。以上から、借り手に対する非金融プログラムの影響は強く、その効果は高いと結論される。集会が与える借り手へのこうした影響は、グラミン銀行だけによってもたらされたとはいえないかもしれないが、借り手がしばしば参加している集会の教育・訓練機能を過小評価することはできない。従って、グラミン銀行には、全ての借り手を対象とする独立した形での非金融プログラムはないが、集会での対話がその代替プログラムとして機能し、明らかに借り手に影響をおよぼしていることを本稿は示した。