Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University. Natural science

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Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University. Natural science Volume 16 Issue 2
published_at 1967-03

Studies on the Growth competition of Between Crops and Weeds. 3. : The Behavior in the Soli of Inhibitory Substances Contained in Lycoris Radiata

作物及び雑草の生育競合に関する研究(3) : ヒガンバナに含まれる生育阻害物質の土壌中に於ける作用変化(予報)
Tokimasa Fumio
Descriptions
前報(1,2)に於て,多数値物の地下部浸出液を用いて,小麦その他の作物の発芽試験を行なったところ,植物の種類に依っては種々の程度の発芽阻害物質を含み,特にヒガンバナ科に属するヒガンバナ,水仙の球根には強力な生育阻害物質が存在する事を報じた。そして,障害の模様から,その原因を呼吸阻害にあると推察し,これに関する1,2の実験を実施した。その結果,球根含有物質が,呼吸作用に関連ありと考えられる細胞内酵素,特に鉄ポリフィリン系酵素に対して劇しい害作用を呈することが判り,且,その作用機構を,これら酵素を形成している微量の鉄及び銅を強力に捕捉するためであるとした。また上の事は,単に推察し得る原因の一つを主張したに止り,その真因が何であるかについては,俄かに断定できない事をも付言した。さらに,この物質は,乾燥や熱に対しても極めて安定であるところから(前報),この植物の生体または,遺体によって,土壌が汚染された場合,所謂忌地現象の要因となりうる可能性についても示唆した。もともと,忌地の学門的な究明は甚だ困難であり,その原因についても,色々の説が提起されているが,今尚,群盲の象を評するの感があり,決定的な解釈は行なわれていない。此等の説のうち,最近では毒素説に関する研究が盛んで,特定植物による生体または遺体からでる有毒物質が,作物の生育に悪影響を及ぼしたという報告がみられる。例えば,平井はイチヂク,滝島はエンドウ,ボナーはGuayule plantで此等の事実を報告している。ところで,屡述したように,筆者の明らかにしたヒガンバナの阻害物質は,既報のものに比べ極めて強力であるが,土壊中に於ても,普通の発芽試験にみられる程の障害を現わすかどうか,また障害ありとすれば,土壊中における毒性持続期間如何をしる事は,忌地問題の一端を剔扶するものとして興味が深い。ここでは,これらに関する実験のうち,今までに得られた結果についての概要を予報的に報告したい。