Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University. Natural science

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Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University. Natural science Volume 15 Issue 2
published_at 1966-03

Feeding Grit for Hens. -Distribution and Transition of Grit in the Gizzards of Hens. -

鶏に対する砂粒給与試験 : 筋胃内の砂粒分布の移動
Ito Shibaro
Descriptions
鶏の栄養に対して,砂粒給与の効果の有無や,砂粒の給与法について古くがら種々の報告がされているが,とくに最近の養鶏が立体飼育化するにしたがって,この問題は究明されねばならない点が未だ多い。R.E.SMITH (1960)はグリットの大きさと表面の粗滑が家禽の消化率に及ぼす影響について研究し,グリット給与はその大きさの差異と関係なく,各種栄養成分の消化率を向上させグリットの摂取量は,その径が大きいほど小となり,グリット摂取量に対する筋胃内のグリット蓄積率は,グリットの径の大きいほど高くなるとし,さらに粗面グリットは滑面グリットに比し,その摂取量は小で,筋胃内蓄積率が高いことを認めている。M.L.SCOTT and G.F.HEUSER(1956)は,不溶性グリット(花詞岩・長石)や可溶性グリット(石灰岩,カキ殼)を給与して,鶏の成長,産卵,飼料効率などを調べ,花崗岩と長石はともにその効果があるが,石灰岩末やカキ殼末は石灰給源としても,筋胃内容の磨砕作用についても効果が認められないとしている。また花岩崗末と長石末をそれぞれ単用で自由採食させた場合,それらの摂取量はほゞ等量であるが,その二つを自由に選択摂取させると長石を選ぶともいっている。中沢は白レグの各日令を通じ,筋胃内砂粒は粒径2~4mmのものが最も多く,鶏の成育とともに粒径2mm以下の砂粒量は減少する傾向があるとし,砂粒給与によって筋胃が大きくなり筋胃粘膜の厚さをますといい,またヒナの時期に〓のうも砂粒給与によって大となるとし(1962),鶏の筋胃の機構とその中での食〓の運動の仕方について詳細に記載した(1964)。さらに給与砂粒の排出はついて,粒径の大なるものほど排出され難く胃内に残留蓄積され易く,筋胃に食〓の選択排出能力を認め粒径の大なるもの,または比重の大きいものが筋胃内に残留するとし,また,個体別の日々砂粒排出総量に個体差があるが,一定の共通な傾向があることを認めている。筆者はガラスビーズを用いて鶏の筋胃の砂粒出納について実験観察を行って,若干の知見を得たので報告する。