Journal of cross-cultural studies

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Journal of cross-cultural studies Volume 5
published_at 2011-03-31

On Qianqiu-Baojian : a didactic lecture text of Yunnan province in China

雲南の宣講書『千秋宝鑑』について
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Descriptions
雲南通海県では清代末期に聖諭宣講のための案証集「千秋宝鑑」四巻が編纂された。四巻本は簡易な宣講本であり、四巻本の案証集ではこの宣講儀式を省略したテキストが多いが、『千秋宝鑑』の冒頭には、順治帝の『聖諭六訓』、康熙帝の『聖諭十六条』、文昌帝君の『蕉窓十則』を掲載して宣講儀式を行えるよう配慮しており、宣講生が聖諭を読誦してから案証故事を宣講した実態を彷彿とさせる。案証は四十八則あり、その二十四則は明らかに先行する案証集に取材している。これは先行する案証が聴衆に親しまれており、宣講する側にとっても簡便な素材であったためであろう。後の二十四則は取材先が不明であるが、雲南以外の案証が多いことから、先行する案証集に取材したのではないかと考えられる。案証には人物の歌唱によって聴衆を感化する重要な作用があり、後世になるについて次第に歌唱の場数を増やし、長篇化して娯楽性を強めてくる。この案証集もそうした傾向が強くなっている。さらに案証を単独に宣講せず、善報悪報の対偶を作ってわかりやすく宣講して勧善効果を狙うという工夫も凝らされている。本論文では案証集の先駆である「宣講集要」十五巻の影響を受けて雲南で編纂された案証集「千秋宝鑑』四巻のこうした特色について論じた。