本稿は、スケートボードのハウトゥ動画の分析を通して、身体技法の教示と修得がどのようになされるのか分析し考察することを目的とするものである。
結果、第1に、手本の提示は教える側の権威の確認のためにもなされていること、第2に、修得に必要となる曖昧な概念を教示する際に、教える側と教わる側の概念のすり合わせがなされていること、第3に、技法の修得が近づいてきた場面では、教わる側から修得のための新概念が提示されそれが教える側によって承認されること、の3点が析出された。
身体技法が教示され修得されようとする際には、上記のような方策が用いられながら、修得という目標に向けて実践が積み重ねられていくことが、本稿からは見えてきた。当然のように行われている身体技法の教示と修得は、実は複雑なやり取りからなされており、そうした複雑さを埋め合わせるための方策が用いられながら成立していることが示唆された。