Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University. Natural science

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Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University. Natural science Volume 23 Issue 2
published_at 1973-10

Effect of the Night-Illumination by Electric Lamps on the Growth and the Yields of Wheat and Barley

麦類の生育および収量に及ぼす夜間照明の影響
Tokimasa Fumio
Descriptions
近来,工場の農村地帯への進出や,道路の整備拡充に伴う街路灯の増設,さらには,住宅,営業用照明灯の普及などのため,附近の作物はあたかも長日処理をうけると同じ結果となり,その発育に異変をみるにいたっている。特に水稲においては,長日に伴う出穂遅延が著しく,新な公害として注目され既にこれに関する報告もなされている。著者の一人時政も夜間照明灯の水稲の生育に及ぼす障害について調査し,照度は比較的低くても影響がみられること,生育時期別には止葉始原体分化期から後20日間の極めて限られた時期であること,照明による出穂のおくれには著しい品種間差異があることなどを指摘した。更に,障害の著しい典型的な短日植物である晩生種のなかにも,長日に対して異なった反応を示す生態型の混在する事実をつきとめ,このことから照明灯によって影響されない品種の,育成も可能であることをも主張した。さて,この照明灯による生育障害は,単にいねだけにとどまらず,多くの作物にみられることが想像されたので,筆者等は数年来普通作物,園芸作物(花卉)の多数について観察を続け興味ある結果を得ているが,今回はこのうち,いねとは光週感応を全く異にする麦類についての結果を予報的に報告したい。試験は1968~72年度に学部附属実習農場において行われた。光源としては,日本電池KK製螢光水銀ランプHF100を用いた。このランプの分光エネルギー分布は5,500~6,800Aに最大の値をもっている。