前報において,ラード添加飼料が白レグ産卵鶏の育成ならびに産卵に及ぼす影響について報告した。飼料の高エネルギー化のために油脂類を加えて,養鶏飼料の飼料効率を向上させる試みは,アメリカなどではすでに広範囲に実用化されているようであるが,それとともに,脂肪の多量摂取が鶏の血清総コレステロール含量に影響を与えることも報告されている。ヒトでは,すでに,変性血管疾病としての動脈硬化,ひいては高血圧が脂質代謝とくにコレステロールの異常代謝と関係のあることが推察されていて,食物としての脂肪摂取量とともに,その脂肪の種類に関する研究が行われている(AHRENS et al. 1957)。ニワトリについても,最近同様な研究が行われて,養鶏飼料にトオモロコシ油を添加すると,ニワトリの血液中のコレステロール含量は変化せず,むしろ減少するのであって,大豆油やヒマワリ油などの他の植物性油脂も,血液中コレステロール含量を増加させない(FISHER et al. 1957, LEVEILLES et al. 1958他)が,しかし牛脂のような動物性脂肪は血液中コレステロール含量を増加させる傾向が認められるとしている(WEISS et al. 1957,LEVEILLES et al. 1958他)。一方,植物性油脂または,動物性脂肪がニワトリの血液中コレステロール含量に大した影響を与えないという報告もある(TERAT et al. 1960, DAGHIR et al. 1960,SVACHA et al. 1958, MILLER et al. 1961他)。血液中コレステロール含量はただ飼料中の脂肪含量やその種類によるばかりでなく,これが遺伝的形質である(FRANK et al. 1960)とともに,ニワトリの老若,雄雌の別や産卵状態のほか,種々の生理的条件,さらに,性ホルモンや甲状腺ホルモンの作用に影響されるといわれている。右記,メチオニン,コリン,ベタインなどをニワトリに投与して,多脂肪飼料による血清コレステロール含量の増加を防ぐ研究が行われている(SUTTON et al. 1957, SVACHAet al. 1958, KURNICK et al. 1958,他)。本試験は白レグ産卵鶏にラード添加飼料を与えて,鶏の血清中の総脂質,とくにコレス