「言語学は何を明らかにしようとしているのか」ということについて、分かりやすく書いたものである。言語学の入門的なところはあるが、身近な具体例のなかに、かなり高度な理論的内容を盛り込んでいる。具体的には、次のような内容である。話し手/聞き手は、「学んでいないのに持っている言語知識」に基づいて、母語を発話し、理解している。まず、言語知識を私達が「学んでいないのに持っている」ことを例示し、この知識とその根底にある言語能力の解明こそが言語学の目標であることを強調。この事を、音韻論、統語論、語用論などから具体例を上げ、解説した。音韻規則、曖昧文、視点と主語の選択などについて議論を展開した。言語学への興味の喚起と本格的な言語研究への道を促すためである。取り扱う言語現象は、主に日本語から取った。