Sano Yukihito
Affiliate Master
Yamaguchi University
An approach to the reconstruction of a lecture on philosophy by introducing dialog
The philosophical studies of Yamaguchi University Volume 19
Page 1-25
published_at 2012-03-23
Title
対話形式導入による哲学講義改造の試み
An approach to the reconstruction of a lecture on philosophy by introducing dialog
Source Identifiers
哲学教育における第一義は学生が自力で哲学することができるようにすること、このことは動かないと思う。学生が自ら哲学的な問いを立て、これを自ら、あるいは対話を通じて哲学することを通じて、自分なりの答えにたどりつくことができるようになること、これが到達目標である。これを「講義」および「演習」という授業形式の中でどのように達成していくか、これが目下の課題である。現在のところ私は講義とは「教員が研究に基づいて自説を積極的に展開する場」、これに対し演習とは「学生が研究に基づいて自説を積極的に展開する場」というように理解している。このような講義の形式において、上の到達目標はいかにして達成可能となるのだろうか。 以下に述べるのは平成23年度後期の初等科社会における講義(3回分)の報告である。第1回目の講義では必修ということで、ただ何となく出席している学生を「哲学する」態勢に導くこと、そのための導入を行った。そこでは3つの戒め(「教わる気になるな!」「分かった気になるな!」「前提を問え(前提に無批判になるな)!」と、1つの誓い(「考えることから逃げない」)の説明を行った。次に「はじめまして。私は佐野之人です」という、この講義の冒頭の言葉を実際に共に哲学した。「初めましてとは何か?」「初対面の際の挨拶の言葉である」「それでは『対面(出会い)』とは何か?」「挨拶とは何か?」「私とは何者か?」こうした問いについて対話を交わしながら共に考えていくことで、学生に「哲学すること」の体験をさせること、これが次なる目的であった。そうした体験の後に、「初等科社会に哲学は必要か」という問いを投げかけた。この問いを通じて哲学と人間、哲学と子供、哲学と自分との関係を考えさせるためである。 第2回の講義では、前回の講義に対する学生のコメントを紹介し、その中から学生に自ら「哲学的な問い」を見つけ出すよう指示した。これはグループディスカッションで行い、その中から全体討論のテーマを多数決で選出した。選出されたテーマは「生きる意味はある?yes/no」であった。第2、3回の講義を通じてこのテーマで学生は対話しながら哲学をしていく。その流れの中で、教員が自ら哲学したことを、あくまで一つの説として紹介し、その後のレポートにおいてさらに学生が各自の哲学を展開する、こうした対話を導入した講義の在り方というものもあってもよいかもしれない。
Languages
jpn
Resource Type
departmental bulletin paper
Publishers
山口大学哲学研究会
Date Issued
2012-03-23
File Version
Version of Record
Access Rights
open access
Relations
[ISSN]0919-357X
[NCID]AN10403441
Schools
教育学部