山口医学

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山口医学 Volume 52 Issue 4
published_at 2003-08-31

Effectiveness of group education for diabetes prevention using change in hemoglobin alc (HbAlc) as an index of evaluation

糖尿病集団予防教育の効果 : 健診成績の推移を評価指標とした検討
Fujimura Takae
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B030052000406.pdf
Descriptions
【目的】老人保健事業としてわが国で長年実施されてきた糖尿病集団予防教育の効果を,健診結果の変化を評価指標として用い,集団予防教育を受けなかったコントロール群と比較して検討した.【方法】Y県中央部に位置している2市1町において,平成8~11年度に基本健康診査または人間ドックを受診した者の中から,糖尿病予防教室受講者(受講群)35人と受講しなかった者(非受講群)70人を抽出し,HbAlc等の健診結果を糖尿病予防教室の受講前(第1年度)と翌年(受講後,第2年度)で比較した.受講群,非受講群ともに,第1年度の健診結果において,HbAlcの値が基本健康診査判定基準の要指導域区分にあたる5.6%以上で服薬治療を受けていない70歳未満の受診者である.受講群と非受講群は1:2の割合で個別マッチングを行った.健診結果の経年的変化については対応のあるt検定を行った.HbAlc改善の有無については,受講群と非受講群の1:2マッチングを考慮した単変量解析および多変量解析をSASによるロジスティック回帰分析を用いて行った.なお5%の危険率で有意と判定した.【結果】受講群のHbAlc値は,受講前から受講後に有意に低下しており(p<0.01),体重およびBMIも有意に低下していた(p<0.01).HbAlc値が受講前(前値)より受講後(後値)に0.5%以上減少した場合を「改善」,それ以外を「非改善」とし,1:2マッチングした糖尿病予防教室受講の有無とで比較した.その結果,HbAlc値が受講前(前値)より受講後(後値)に0.5%以上減少した改善者は受講群において有意に多く,糖尿病集団予防教育の効果が認められた.HbAlc値の改善・非改善に関連すると思われる年齢,性,居住地,受講の有無,肥満,高脂血症の6つの要因を用いたロジスティック回帰分析の結果,糖尿病予防教室受講の有無のみが統計的に有意な影響を及ぼしていることが認められた.【結論】糖尿病予防を目的とした集団健康教育の効果が確認できた.
Creator Keywords
糖尿病
集団予防教育
健診成績
HbAlc
教育効果
Rights
本文データは山口大学医学会の許諾に基づきCiNiiから複製したものである