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Creators : 程 攄懐 Updated At : 2022-06-07 14:57:51
Many infrastructures constructed in the period of high economic growth are currently deteriorated and need renewal / repair. Considering the future situation, new-build infrastructures should be more durable, so the use of high-strength materials capable of reducing maintenance and management costs is preferable. A suitable construction material for the future situation is an ultra-high-strength fiber-reinforced concrete (UFC). General UFCs are cured under high temperature (at 90℃ for 48 hours). Most UFC members are often made in precast-concrete factories with dedicated curing facilities. A UFC manufacturable at general ready-mixed concrete plants has been required for various constructions using cast-in-placed concrete. The study focused on the mixture design and the manufacturing method of UFC without heat-curing. The targeted strength of the UFC was 200 N/mm^2 at the concrete age of 28 days. To achieve the required performance for UFC, the experimental study was designed and conducted. The thesis consists of seven chapters, and the content of each chapter is as follows: Chapter 1 "Introduction" shows the social concern in Japan, such as the present conditions of infrastructures. In addition, the chapter summarizes the transition of high strength concrete and fiber-reinforced concrete. The research background and the purpose of this study are described in this chapter. Chapter 2 "Previous studies" shows the review of previous studies dealing with investigations on UFC. In addition, the chapter clarifies the problem of UFC manufacturing by referring to the previous studies. Chapter 3 "Mixture design", the materials and mixture proportions required for the UHPC manufacturable under ambient temperature conditions were investigated. Five types of cement and four types of powder materials were tested, as well as the fine aggregate needed to achieve proper fluidity, fiber dispersibility and strength. To achieve the appropriate flowability and adequate strength, the cement having low C_3A and high C_3S was suitable for the UHPC manufacturable at ambient temperatures. Furthermore, the mortar with W/B of 21% achieved 200 N/mm^2 at 28 days, so it can be designed as the maximum W/B for the UFC. The test result confirmed that allowable fine aggregate volume was lower than 600 kg/m^3 to obtain proper dispersion of steel fibers. Chapter 4 "Material properties and durability of hardened UFC", the hardening material properties and durability of the UFC designed in Chapter 2 were examined. The result confirmed that the UFC achieved 196 N/mm^2 at the age of 28 days. The UFC exhibited an excellent cracking strength and tensile strength which were almost equivalent strength of the conventional UFC. In addition, the UFC indicated excellent resistances to various degradation effects, such as neutralization, freezing and thawing, permeability of chloride ions, and sulfate attack. On the other hand, the UFC had low resistance to sulfuric acid and large autogenous shrinkage strain. The properties should be considered in the application of prestressed concrete owing to the loss of prestress. Chapter 5 "Manufacturing method in RMC plant" reports the manufacturing methods at the ready-mixed concrete (RMC) plant. The result confirmed that UFC can be manufactured at a general RMC plant, the equipment although mixing time varies owing to the mixer capacity. In addition, the mixing methods of steel fibers were compared. Owing to the high viscosity of the UFC, undischarged UFC from the truck was approximately 190 L, which was extremely higher than ordinary concrete (80 L). The compressive strength of UFC using several types of fine aggregate were examined. The result suggested that the evaluation of the properties of fine aggregates in the UFC is necessary for the practical use. Chapter 6 "Practical applications of UFC" verifies the applicability of UFC of at sites. The result confirmed that the mixing-load increased in proportion to the mixing volume, the maximum mixing volume was identified as 80% of the capacity of mixer. The results showed that the UFC made in a RMC plant indicated stable fresh and strength properties for a few months. Furthermore, the production of UFC with onboard mixers was tested. The result confirmed that the method reduced the material-loss during transportation. The surface-finish of UFC was also evaluated by comparing the results obtained from a soil hardness tester. Moreover, the heat curing conditions of UFC were investigated. The result confirmed that the highest temperature and the curing time for the heat curing were lower and shorter than the standard heat curing (at 90℃ for 48 hours), respectively. Chapter 7 "Conclusions" presents the remarkable conclusions in this study and further research for the practical application of the UFC.
Creators : Tamataki Koji Updated At : 2022-06-08 16:36:11
近年、イヌ・ネコ・フェレットといった様々な動物が愛玩動物として飼育されており、ヒトと同様に多様な感染症に罹ることが知られている。愛玩動物における感染症の治療法や診断法を確立することはOne Healthの観点でも重要で、ヒトの健康の維持に直結するような公衆衛生上重要な課題である。ネコヘルペスウイルス1(FHV-1)は猫ウイルス性鼻気管炎の原因となるヘルペスウイルスとして知られ、上部呼吸器症状や流産などを引き起こす。インフルエンザAウイルス(IAV)は人において呼吸器症状を引き起こす季節性のウイルスとして知られ、イヌ・ネコ・ブタといった様々な動物に感染することが知られている。季節性のIAV以外にも、動物の体内で生まれる遺伝子再集合体のパンデミックも問題となる。本研究では、愛玩動物に感染が認められる上記の2種類のウイルスを解析し、FHV-1の新規治療薬の提案とIAVの診断法の確立を目的とし、全2章で構成された。
Creators : Kuroda Yudai Updated At : 2022-06-08 16:04:13
Creators : Husniyah Binti Mahmud Updated At : 2022-06-08 15:28:21
オメガ3長鎖多価不飽和脂肪酸(ω-3)は海産魚や魚油に含まれる必須脂肪酸で、抗炎症効果を有することから非感染性ぶどう膜炎の有効な治療になる可能性がある。多くのぶどう膜炎でみられる獲得免疫による炎症反応は、樹状細胞(DC)、マクロファージ、およびBリンパ球を含む抗原提示細胞(APC)による抗原提示から開始され、炎症のトリガーとして重要である。これまでに我々はω-3長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)が、実験的自己免疫性ぶどう膜炎モデル(EAU)の眼炎症を抑制することを示した。今回、ω-3によるEAUの抗炎症効果に対する APCの関与を検討し、その作用機構について解析した。 C57BL/6マウスに等カロリーに調整したω-3もしくはω-6を含有した餌で給餌し、安楽死後に回収した脾臓細胞をマイトマイシンC処理してAPCを調整した。これらをEAU誘導したマウスから単離したCD4陽性T細胞と共培養し、種々の炎症性サイトカインの発現量および3H-チミジン取り込み量を指標とした増殖能を評価した。次にω-3群のAPCをDC、マクロファージ、B細胞を含む残りの細胞群(B細胞他)に分離し、ω-3の炎症作用を担当する細胞を探索した。続いて、ω-3で賦活化したDCによる抗炎症効果を検討するため、ω-3群のDCを単離し、EAUを誘導したマウスにAdoptive transfer(養子細胞移植)し、臨床および組織学的スコアを評価した。最後にω-3がDCに直接作用して抗炎症効果を発揮するか否かを検討した。 C57BL/6由来DCとBALB/c由来CD4陽性T細胞を混合培養して混合リンパ球反応MLR(mixed lymphocyte reaction)を誘導した培養系に、代表的なω-3脂肪酸であるDHAおよびEPAを投与し、T細胞増殖能を評価した。 ω-3群のAPCは、ω-6群に比較してIFN-γ、IL-17の発現量およびT細胞増殖能を有意に低下した。その抗炎症効果はAPCから単離したマクロファージやB細胞他ではみられず、DCのみで保存された。さらに、ω-3群のDCをAdoptive transferしたEAUマウスでは、炎症スコアが有意に低下した。DHA・EPAで賦活化したDCはMLRによるT細胞増殖能を有意に抑制した。 以上より、ω-3の経口摂取によるEAUの眼炎症抑制効果は、APC、特にDCを介在して発揮されることが示された。
Creators : 内 翔平 Updated At : 2022-06-08 15:10:07
ラット坐骨神経結紮モデル(SNL)は最も一般的に神経障害性疼痛の実験に用いられるモデルラットであり、運動麻痺を生じないことでも知られている。神経障害性疼痛モデルの疼痛評価にはこれまでフォンフレイテスト(機械的アロディニア評価)と熱刺激回避テストが用いられてきた。しかしこれらのテストは臨床で用いられる神経学的検査とは全く異なる手法での評価である。神経障害性疼痛を有する患者では、両下肢の協調運動が乱れ,歩行時の下肢の動きに左右差を生じていることが多い。本研究において、私達はヒトと同様な疼痛行動や疼痛に伴う歩行障害などが実際には生じているのではないかと考え、三次元歩行解析を行いて本モデルの関節の動きや歩行時の動態解析を行った。今回の解析にはキネマトレーサーシステムを用いた。 機械的アロディニアに関するSNLの効果として術後1週間から8週間にわたり、回避行動閾値の47±6.1%の低下を認めた。SNLラットにおける股関節・膝関節・足関節のマーカーの矢状面の軌跡は歩行中に大きな変動を認めた。歩行中の不安定性を示す患側左股関節・膝関節の上下端の高低差は、SNLラットでほうが有意に大きかった。歩行パターンを示す、両足同時接地時間はSNLラットのほうが有意に長い結果であった。左右下肢の協調運動を評価するため、両下肢の歩行周期時間も計測した。歩行周期の左右差を示す左右比は、コントロール群のラットでは1.0±0.08と左右差がほぼないのに比較し、SNLラットでは0.62±0.15と有意に左右下肢の歩行周期が異なることが示唆された。 フォンフレイテストや熱刺激回避テストは臨床現場で使用されることのない疼痛機能評価であるが、こうした新しい三次元歩行動態解析技術を用いることができれば、神経障害性疼痛患者における疼痛行動も、定量的かつ数値化して示すことが可能になる可能性について示すことができた。従来の神経障害性疼痛モデルにおける、疼痛機能評価に関する臨床と実験モデルの大きなかけ離れについての問題点を解決し、将来的にはヒトでの機能評価にも応用できる新しい三次元歩行動態解析技術について報告し、実際のラット坐骨神経結紮モデルでのデータを示した。
Creators : 瀬戸 隆之 Updated At : 2022-06-08 15:01:40
新規ヒトin vitroおよびex vivo BBBモデル,in vivo モデルを用いて,NMOSDの病態生理とサトラリズマブの作用機序を,BBB破綻の点から検討した.血管内皮細胞に対するペリサイトおよびアストロサイトの足突起の接触を再現した3層共培養系を構築し,これを用いて静的in vitroモデルおよび流速負荷型ex vivoモデルを作製した.これらのBBBモデルを使用し,バリア機能の持続測定,白血球のmigration,NMO-IgGとサトラリズマブのBBB透過性を評価した.In vivo研究では,脊髄中でIL-6が著増するEAEマウスのin vivoでのBBB破綻に対して,マウスIL-6受容体抗体MR16-1が与える効果を評価した.In vitroおよびex vivoでの実験では,NMO-IgGがサトラリズマブおよびNMO-IgGの脳内透過性を亢進させること,サトラリズマブがNMO-IgGが誘導するT細胞のmigrationとBBB破綻を抑制することが示された.In vivo研究では,IL-6シグナル伝達の阻害によって,T細胞の脊髄への浸潤が抑制され,脊髄炎の発症が抑えられた.これらの結果から以下のことが示された.(1)我々が作製した,3層共培養によるin vitroおよびex vivo BBBモデルは,バリア機能,白血球のmigration,脳内移行性を評価するために理想的なBBBモデルである.(2)NMO-IgGは,バリア機能の減弱によってNMO-IgG自身の透過性を亢進し,アストロサイトからのIL-6分泌を誘導し,さらなるバリア機能の障害と細胞浸潤の制御破綻を引き起こす.(3)サトラリズマブは,NMO-IgGの共存下でBBB通過が容易となり,BBB機能障害と炎症細胞浸潤を抑制する結果,NMOSDの発症を予防する.
Creators : 藤川 晋 Updated At : 2022-06-08 14:46:23
(目的)排卵期の黄体形成ホルモン(LH)サージは、顆粒膜細胞(GCs)において、遺伝子発現や細胞機能の急激な変化を引き起こし、黄体化を誘導する。本研究では、黄体化過程のGCsにおける遺伝子発現の経時的変化と、エピジェネティックな遺伝子発現制御機構に着目し、ゲノムワイドに黄体化過程の遺伝子発現と細胞機能変化を明らかにすること、および遺伝子発現制御や細胞機能変化とヒストン修飾H3K4me3変化の関連性を明らかにすることを目的とした。 (方法)幼若雌マウスにeCG-hCG注射による過排卵刺激を行い、hCG投与前、投与後4時間、12時間の時点でGCsを回収し、RNAシークエンスとH3K4me3抗体を用いたChIPシークエンスを行った。 (結果)RNAシークエンスにより、多数の発現変動遺伝子が同定され、遺伝子発現の時間的変化に応じて8つのパターンに分類された。多くの遺伝子は、hCG刺激後4時間で一過性に発現上昇または低下していた。これらの遺伝子群に関連する細胞機能をGene Ontology解析で調べたところ、ステロイド産生、排卵、卵丘細胞複合体の膨化、血管新生、免疫、活性酸素代謝、炎症反応、脂質代謝、オートファジーが同定された。さらに、DNA修復と細胞サイズの増大という2つの機能がこれまでに報告されていない細胞機能として同定された。ChIPシークエンスにより、黄体化過程ではゲノム全域にわたってH3K4me3が急激に変化し、遺伝子発現に関与することが示唆された。mRNA発現データとH3K4me3のデータを統合解析したところ、H3K4me3はステロイド産生、排卵、COCの拡大、血管新生、炎症反応、免疫、活性酸素代謝、脂質・糖代謝、オートファジー、細胞サイズの調節などに関与することが示唆された。 (結論)LHサージ後の黄体化過程にあるGCsにおいて、遺伝子発現はゲノムワイドに変化し、細胞機能が劇的に変化する。H3K4me3の変化は、これらの急激な遺伝子発現制御に関与し、種々の細胞機能を調節することでGCsの黄体化に寄与する可能性が示された。
Creators : 白蓋 雄一郎 Updated At : 2022-06-08 11:44:42
方法: 2010年10月から2019年9月までに山口大学医学部附属病院および川崎医科大学附属病院で画像検査を受けられた患者を後ろ向きに検討した。炭酸ガス拡張を用いたCTC直後にDCE-CTを実施した82例をCE-CTC群とした。CE-CTC群と同様のDCE-CTプロトコールで撮像されたCTC非併用のDCE-CTの症例のうち、年齢や性別をマッチさせた77例を対照群とした。CE-CTC群は男性48名、女性34名で年齢は21~85歳(平均60歳)、対照群は男性46名、女性31名で年齢は20~84歳(平均60歳)であった。 CTは多列検出器CT装置(Optima CT660 ProまたはLightSpeed Ultra 16、ともにGE社製)を用いて行った。CE-CTC群では、大腸の拡張は自動低圧炭酸ガス送出装置(HP-2®;堀井薬品工業社製)を用いて行った。 胃、肝臓(右葉、左葉)、膵尾部、門脈(PV)、脾静脈(SpV)、上腸間膜静脈(SMV)、下腸間膜静脈(IMV)のCT値を、それぞれ非造影CTと早期CTで測定した。造影CT値として、非造影CT画像とDCE-CT早期相画像のCT値(Hounsfeld unit値)の差を算出した。これらの測定は、2名の放射線科医がワークステーション(EV InsiteS;PSP社製)で各々行い、各臓器、血管の画像上に円形または楕円形の関心領域(ROI)を設定し、2人の測定した造影CT値の平均を算出した。また、肝偽病変の有無を共同で記録した。肝偽病変は、DCE-CT早期相で、肝左葉内側区の後縁または胆嚢窩の周囲にある高または低吸収領域として定義した。 Mann-Whitney U検定を用いて各臓器と血管ごとの造影CT値を比較した。また、カイ二乗検定を用いてCE-CTC群と対照群の間で肝病変の発症頻度を比較した。 結果: CE-CTC群と対照群の各臓器・血管における造影CT値の平均値の比較は表1のとおりで、CECTC群の肝実質(図1)、PV、SMV・IMV(図2)の造影CT値は、対照群に比べて有意に高かった。一方で、CE-CTC群の胃(図3)、膵尾部、SpVの造影CT値は、対照群に比べて有意に低かった。 肝偽病変は、CE-CTC群の6例(7%)において、肝左葉内側区の後縁(n=5)または胆嚢窩周囲(n=1)に低吸収領域として認められた(図4)が、対照群では認められなかった(p=0.016)。表2は、CE-CTC患者で肝偽病変がある場合とない場合の肝臓の造影CT値を比較した結果で、肝偽病変のあるCE-CTC患者の肝の造影CT値は、肝偽病変のないCE-CTC患者の造影CT値よりも有意に高かった。
Creators : 伊原 研一郎 Updated At : 2022-06-08 10:48:00
塩化ベンザルコニウム(BAC)は点眼防腐剤として広く用いられている。しかしながら、BACを含む点眼薬の長期使用は結膜下組織の線維化を誘発し、緑内障濾過手術後の濾過胞維持を困難にさせる。また、濾過胞を構成するテノン嚢線維芽細胞と角膜上皮細胞は涙液を介して互いに影響しているが、BAC曝露時のこの細胞間の反応については明らかにされていない。本研究で我々は、共培養システムを用いて、BACにより誘導されたヒトテノン線維芽細胞(HTF)の筋線維芽細胞転化に対するヒト角膜上皮(HCE)細胞の影響について、免疫蛍光染色ならびにウェスタンブロットで評価した。HTFのα-smooth muscle actin(αSMA)発現は、BAC添加により亢進し、HCE細胞との共培養により抑制された。HTFの培養上清中のIL-10濃度は、BACにより減少し、HCE細胞との共培養により増加した。また、BACによるHTFのαSMA発現亢進およびmyocardin-related transcription factor–A(MRTF-A)の核内移行は、IL-10添加によって抑制された。これらのことから、角膜上皮細胞は涙液中のIL-10濃度を維持し、HTFのMRTF-Aの核移行の抑制を介して、BACによる濾過胞線維化を軽減させる可能性が示唆された。
Creators : 山城 知恵美 Updated At : 2022-06-08 10:33:17
活性化転写因子1(ATF1)は、CREB/ATFファミリーの転写因子に属し、精巣で高発現している。しかし、精子形成におけるATF1の役割は未だ確立されていない。本研究では、精子形成におけるATF1の影響を解明することを目的として、マウスにおけるATF1の発現パターンとマウス精巣におけるATF1ノックダウンの影響を調べた。その結果、ATF1はさまざまな臓器で発現しており、精巣では非常に高いレベルで発現していることがわかった。免疫染色により、ATF1はspermatogoniaの核に局在し、増殖細胞核抗原(PCNA)と共局在することがわかった。ATF1欠損マウスでは、精巣の精細管にはすべての発生段階の細胞が存在していたが、spermatocyte以降の分化段階の細胞数は減少していた。同様にPCNAの発現が低下していた。一方で、精細管におけるアポトーシス細胞はほとんど見られなかった。これらの結果は、ATF1が男性生殖細胞の増殖と精子の生成に関与していることを示している。また、男性不妊症における乏精子症、無精子症の発症機序解明の可能性を示唆した。
Creators : 田原 正則 Updated At : 2022-06-08 10:22:56
前立腺癌細胞と骨芽細胞の相互作用は、前立腺癌骨転移の発生に不可欠である。近年、新規のアンドロゲン受容体標的薬(ARAT)が、転移性去勢未治療前立腺癌(mCNPC)や非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)に対して承認されているが、これらの薬剤と骨微小環境や腫瘍との関係を調べることは極めて重要である。今回、我々は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の骨微小環境を模倣した新規のin vitro 3次元微小環境モデルを確立し、アンドロゲン受容体標的薬の薬剤感受性と、アビラテロンとデュタステリドの併用療法の有効性を評価した。キトサンナノ繊維で表面をコートした細胞培養基材を用いて、GFPを導入したC4-2細胞(CRPC細胞株)とRFPを導入したヒト骨髄由来間葉系幹細胞から分化した骨芽細胞を共培養し、去勢抵抗性前立腺癌の骨微小環境を模倣した。骨芽細胞とC4-2細胞の増殖はCell3 iMager duos(SCREEN)を用いて生細胞のまま解析し、骨芽細胞を維持したまま、最大30日間C4-2細胞の持続的な増殖を観察できた。また、骨芽細胞と共培養したC4-2細胞では、TGF-βの発現が増加し、上皮間葉転換(EMT)が促進されたことから、アンドロゲン受容体標的薬に対する抵抗性が示された。このモデルを用いて、各薬剤のIC50と、アビラテロンとデュタステリドの併用効果を評価した。アビラテロンとデュタステリドの併用療法は、それぞれの単剤投与と比較して、C4-2細胞の増殖を相乗的に抑制し、これは、ARアゴニストである3-keto-5α-abirateroneの減少によるものと考えられた。我々の新規骨微小環境モデルは、前立腺癌の薬剤感受性の評価に有用であり、今後このモデルは、前立腺癌の微小な骨転移から臨床的な骨転移に至るまでの未知のメカニズムの解析に役立つ可能性がある。
Creators : 佐本 征弘 Updated At : 2022-06-08 10:16:27
遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:以下HAE)は、全身の様々な部位に突発性、一過性の浮腫を生じる稀な常染色体優性遺伝性疾患である。HAEは、C1 inhibitor(C1INH)をコードするserpin family G member 1(SERPING1)遺伝子の変異により生じるHAEI型およびII型、SERPING1遺伝子以外の遺伝子異常を認めるHAEIII型(HAE with normal C1INH)の3つに分類される。これまでに、SERPING1遺伝子においては多数の病的変異が同定されているが、各変異によるHAEの発症機構については未だ十分に解明されていないのが現状である。 本研究では、以前に我々が報告したHAE I型の患者に同定されたSERPING1遺伝子のミスセンス変異c.449C>T(p.S150F)に関して、詳細な発現・機能解析をin vitroレベルで行った。まず、p.S150F変異型C1INHは細胞内では安定して発現するが、細胞外には全く分泌されないことが示された。次に、変異型C1INHが野生型C1INHの分泌を強力に阻害することが明らかになった。さらなる解析で、野生型C1INHは変異型C1INHとの相互作用によって細胞質内に留め置かれてしまうだけでなく、分解も誘導されることが示唆された。本研究によって、p.S150F変異型C1INHは野生型C1INHに対してdominant-negative効果を発揮することが証明され、それが本遺伝子変異によるHAE I型の主要な発症メカニズムと考えられた。
Creators : 安野 秀一郎 Updated At : 2022-06-08 09:43:47
低汗性外胚葉形成不全症 (hypohidrotic ectodermal dysplasia: HED) は、低汗症、乏歯症乏毛症を特徴とする遺伝性疾患である。本疾患の家系のほとんどがX連鎖劣性 (X-linked recessive: XR) の遺伝形式を示すが、稀に常染色体優性 (autosomal dominant: AD) または常染色体劣性 (autosomal recessive: AR) の遺伝形式を示す家系も存在する。XRのHEDはEDA遺伝子の変異で発症し、AD/ARのHEDはEDARまたはEDARADD遺伝子のいずれかの変異で発症する。現在までに、EDAおよびEDARの変異に関してはHEDの発症機序が明らかにされてきたが、EDARADDの変異がどのようにHEDを引き起こすかについての情報は乏しかった。 本研究では、過去にHEDの家系に同定されたEDARADD遺伝子変異のうち、ADの遺伝形式を示すp.D120Y、p.L122R、p.D123Nと、ARの遺伝形式を示すp.E152Kに着目し、培養細胞レベルでさまざまな解析を行った。EDARADDは、シグナル伝達の主要分子であるTRAF6と結合し、最終的に下流のNF-κBを活性化させるが、ADの変異型EDARADDはNF-κBの活性化能を著しく喪失していた。一方で、ARの変異型EDARADDの同活性化能の低下は軽度だった。また、解析した全ての変異型EDARADDは、EDARおよび野生型EDARADDとの親和性を維持していたが、ADの変異型EDARADDは、EDARと野生型EDARADDとの相互作用をdominant negative効果によって阻害することを明らかにした。さらに、ADの変異型EDARADDはTRAF6との結合能を完全に失い、ARの変異EDARADDも野生型に比べてTRAF6との結合能が低下することを示した。 HEDにおける臨床型と遺伝子型の相関関係は未だ明らかではないが、本研究で得られた知見は、EDARADD遺伝子変異とHEDの発症メカニズムの関連性の一端を解明したといえる。
Creators : 浅野 伸幸 Updated At : 2022-06-08 09:02:08
【方法】 Wister/STラットに左肺全摘を行うことで気管支断端モデルを作製した。口腔粘膜組織から線維芽細胞を単離し、24wellプレートに5.0×10^5個/wellを播種して72時間培養することで積層線維芽細胞シートを作製した。積層線維芽細胞シートの移植による気管支断端の補強効果を検討するため、術後7、14、28日目に標本を摘出し、細胞シート移植の有無による2群間での気管支断端の変化を肉眼的、組織学的、力学的に比較した。 また、細胞シートによる組織修復のメカニズムを検証するために、創傷治癒に関わる成長因子、サイトカインを細胞シート作製時の培養液上清を用いたEnzyme-linked immunosorbent assay (ELIZA)法でin vitroに測定した。更に、Green fluorescent protein (GFP)遺伝子を導入した線維芽細胞で作製した細胞シートを移植し、移植した細胞の残存性を検証した。 【結果】 作製した積層線維芽細胞シートは直径6mmであった。線維芽細胞が4-5層に積層し、コラーゲン線維を含む細胞外マトリックスを保持した状態で回収された。 非移植群では、術後7、14、28日目のいずれのタイミングでも、気管支断端の閉鎖に用いた縫合糸が露出していた。一方で、移植群の気管支断端は新生組織で広く被覆されていた。なお、細胞シートの移植の有無に関わらず、標本摘出までの期間に気管支断端瘻が生じた個体はなかった。摘出した標本を組織学的に観察すると、非移植群の気管支断端周囲にはごく僅かな結合組織が形成されたのみであったが、移植群では気管支断端周囲に多量の結合組織が形成されていた。また、移植群に生じた気管支断端周囲の結合組織が徐々に成熟すること(Azan染色)、その組織に多くの血管構造が含まれていること(抗CD31抗体による免疫染色)が観察された。新生組織を含む気管支壁の厚み、それに含まれる血管構造を定量化したところ、いずれのタイミングでも移植群の気管支壁が有意に厚く、より多くの血管構造を含んでいた。また、気管支断端の補強効果を力学的に検証するために、気管支断端の耐圧能を評価したところ、非移植群では全ての標本で気管支断端からエアリークが生じた。一方、移植群では300mmHgまでの加圧によってエアリークが生じた標本はなく、その耐圧値は移植群で有意に高かった。 細胞シート作製時の培養液上清を用いたELIZA法では、VEGF、Hepatocyte growth factor (HGF)、C-X-C motif chemokine ligand 1 (CXCL1)、Angiopoietine-2、Monocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1)、Transforming growth factor beta 1 (TGF-β)が細胞シートから分泌されていることが示された。 GFP遺伝子導入積層線維芽細胞シートを移植したところ、術後3日目の時点ではGFP遺伝子導入線維芽細胞が気管支断端に残存していることが確認されたが、7、14 日目にはGFP遺伝子が発現した細胞は確認されなかった。 【考察】 気管支断端は僅かに新生された結合組織でのみ覆われることが報告されており、本研究においても、非移植群の気管支断端の周囲には僅かな結合組織が形成されたのみであった。一方、積層線維芽細胞シートを移植することにより、気管支断端の周囲に多くの血管構造を含んだ結合組織が形成され、力学的にも気管支断端の強度が増していることが示された。気管支断端瘻は、術後1週間から3ヶ月、特に10日目前後に多く発生するとされていることから、細胞シートの移植後7日目の時点で、気管支壁がより厚く、血管構造に富み、優れた耐圧性を獲得していることは、気管支断端瘻の予防にとって十分に効果的な可能性がある。 積層線維芽細胞シートにより気管支断端が補強される機序を解明するため、細胞シートが分泌する成長因子やサイトカインの測定、GFP遺伝子導入細胞シートを用いた検証を行ったが、移植したGFP遺伝子導入細胞は術後3日目には残存していたが、7日目の時点では確認できなかった。このことは、移植した線維芽細胞が生存、増殖して結合組織を形成するのではなく、細胞シートの移植が宿主の組織治癒を促進させている可能性を示している。VEGF、HGFやTGF-βなどの成長因子、サイトカインが細胞シートから分泌され、これらに宿主に働きかけることで、気管支断端周囲での組織形成や血管新生が促進されたと推察される。 積層線維芽細胞シートの移植後7日目の時点で、気管支断端周囲に血管新生を伴った結合組織が形成され、力学的な補強効果があることが示された。積層線維芽細胞シートの移植は、局所の血流低下による組織治癒遅延が原因とされる気管支断端瘻に対して有効な予防法となる可能性がある。 【結語】 積層線維芽細胞シートの移植による気管支断端の補強効果が示された。本法は、気管支断端瘻の有効な予防法となる可能性がある。
Creators : 吉峯 宗大 Updated At : 2022-06-07 17:16:37
Creators : 鹿 安冉 Updated At : 2022-06-07 16:59:48