山口県瀬戸内海側河川の地下水調査および橋梁基盤並びに工場建設地基礎調査等のために施行した試錐の結果をしらべて, 河川の河口付近における旧河床深度が東北方に至るに従い増大すると同時に沖積層中に挾在せられる粘土層の薄層が河川の両岸において2?3mの深度差のあること等に気付いた。これ等のことは山口県瀬戸内海側の沖積層の基盤が沖積層堆積後において傾動したと解釈しうるもので, 傾動の機構並びにその過程を地学的, 地理学的および物理化学的方法によって究明すると同時に現時瀬戸内海周辺地帯に生起しつつある地盤沈下現象との関連性について論述せんとするものである。