Three-dimensional analysis of the characteristics of joint motion and gait pattern in a rodent model following spinal nerve ligation
Title
ラット坐骨神経結紮モデルにおける三次元歩行解析
Three-dimensional analysis of the characteristics of joint motion and gait pattern in a rodent model following spinal nerve ligation
Degree
博士(医学)
Dissertation Number
医博甲第1651号
(2022-03-16)
Degree Grantors
Yamaguchi University
[kakenhi]15501
grid.268397.1
Abstract
ラット坐骨神経結紮モデル(SNL)は最も一般的に神経障害性疼痛の実験に用いられるモデルラットであり、運動麻痺を生じないことでも知られている。神経障害性疼痛モデルの疼痛評価にはこれまでフォンフレイテスト(機械的アロディニア評価)と熱刺激回避テストが用いられてきた。しかしこれらのテストは臨床で用いられる神経学的検査とは全く異なる手法での評価である。神経障害性疼痛を有する患者では、両下肢の協調運動が乱れ,歩行時の下肢の動きに左右差を生じていることが多い。本研究において、私達はヒトと同様な疼痛行動や疼痛に伴う歩行障害などが実際には生じているのではないかと考え、三次元歩行解析を行いて本モデルの関節の動きや歩行時の動態解析を行った。今回の解析にはキネマトレーサーシステムを用いた。
機械的アロディニアに関するSNLの効果として術後1週間から8週間にわたり、回避行動閾値の47±6.1%の低下を認めた。SNLラットにおける股関節・膝関節・足関節のマーカーの矢状面の軌跡は歩行中に大きな変動を認めた。歩行中の不安定性を示す患側左股関節・膝関節の上下端の高低差は、SNLラットでほうが有意に大きかった。歩行パターンを示す、両足同時接地時間はSNLラットのほうが有意に長い結果であった。左右下肢の協調運動を評価するため、両下肢の歩行周期時間も計測した。歩行周期の左右差を示す左右比は、コントロール群のラットでは1.0±0.08と左右差がほぼないのに比較し、SNLラットでは0.62±0.15と有意に左右下肢の歩行周期が異なることが示唆された。
フォンフレイテストや熱刺激回避テストは臨床現場で使用されることのない疼痛機能評価であるが、こうした新しい三次元歩行動態解析技術を用いることができれば、神経障害性疼痛患者における疼痛行動も、定量的かつ数値化して示すことが可能になる可能性について示すことができた。従来の神経障害性疼痛モデルにおける、疼痛機能評価に関する臨床と実験モデルの大きなかけ離れについての問題点を解決し、将来的にはヒトでの機能評価にも応用できる新しい三次元歩行動態解析技術について報告し、実際のラット坐骨神経結紮モデルでのデータを示した。
機械的アロディニアに関するSNLの効果として術後1週間から8週間にわたり、回避行動閾値の47±6.1%の低下を認めた。SNLラットにおける股関節・膝関節・足関節のマーカーの矢状面の軌跡は歩行中に大きな変動を認めた。歩行中の不安定性を示す患側左股関節・膝関節の上下端の高低差は、SNLラットでほうが有意に大きかった。歩行パターンを示す、両足同時接地時間はSNLラットのほうが有意に長い結果であった。左右下肢の協調運動を評価するため、両下肢の歩行周期時間も計測した。歩行周期の左右差を示す左右比は、コントロール群のラットでは1.0±0.08と左右差がほぼないのに比較し、SNLラットでは0.62±0.15と有意に左右下肢の歩行周期が異なることが示唆された。
フォンフレイテストや熱刺激回避テストは臨床現場で使用されることのない疼痛機能評価であるが、こうした新しい三次元歩行動態解析技術を用いることができれば、神経障害性疼痛患者における疼痛行動も、定量的かつ数値化して示すことが可能になる可能性について示すことができた。従来の神経障害性疼痛モデルにおける、疼痛機能評価に関する臨床と実験モデルの大きなかけ離れについての問題点を解決し、将来的にはヒトでの機能評価にも応用できる新しい三次元歩行動態解析技術について報告し、実際のラット坐骨神経結紮モデルでのデータを示した。
Creators
瀬戸 隆之
Languages
jpn
Resource Type
doctoral thesis
File Version
Version of Record
Access Rights
open access