Ikeda Eiji
Affiliate Master
Yamaguchi University
Hypoxia-induced remodeling of vasculature and its involvement in disease progression
山口医学 Volume 58 Issue 4
Page 137-142
published_at 2009-08-31
Title
低酸素刺激による血管系の改築と疾患
Hypoxia-induced remodeling of vasculature and its involvement in disease progression
Source Identifiers
Creator Keywords
低酸素
血管新生
血液網膜関門
糖尿病網膜症
我々ヒトの生命活動は,主として酸素をエネルギー源とした細胞の代謝により維持されている.そして,細胞・組織・生体は,周囲酸素濃度の低下に対し様々な反応を示す.それらの反応は,低酸素環境においても細胞・組織・生体が機能するための代償性反応機構とみなされるが,ヒトの疾患においては病態を悪化させる要因として働く場合が多い.酸素を末梢組織へ運ぶ通路である血管は,酸素濃度変化に対し敏感に反応し,様々な改築を示し種々の疾患の病態に深く関わることが知られている.我々は,網膜血管の改築が本態である糖尿病網膜症の病態について,基礎生物学的ならびに臨床病理学的側面から解析を行ってきた.糖尿病網膜症では,病変部局所の低酸素状態を誘因とした血管新生および網膜血管バリアー機能破綻が生じる.我々は,組織低酸素状態により誘発される血管新生が,vascular endothelial growth factor(VEGF)mRNAの安定化およびhypoxia-inducible factor 1(HIF-1)pathwayの活性化を介したVEGF遺伝子の転写亢進に担われることを明らかにした.そして,臨床病理検体の解析を通じ,糖尿病網膜症の網膜血管新生病変形成には,低酸素状態にある病変部局所のグリア細胞に産生が誘導されるVEGF,特にアイソフォームVEFE_165と,細胞外マトリックス分解酵素matrix metalloproteinase 2(MMP-2)の活性化因子であるmembrane-type1 matrix metalloproteinase(MT1-MMP)が主役を演ずることが示唆された.一方,網膜血管バリアー機能の破綻については,血管内皮細胞間tight junctionの構成分子であるclaudin-5に焦点を当てた解析を行い,これまでに低酸素刺激によるclaudin-5発現変化が主因であることを示す知見を得ている.本稿では,これまでの我々の研究成果について,文献的考察をまじえて概説する.
Languages
jpn
Resource Type
journal article
Publishers
山口大学医学会
Date Issued
2009-08-31
File Version
Version of Record
Access Rights
open access
Relations
[ISSN]0513-1731
[NCID]AN00243156
[isVersionOf]
[NAID]http://ci.nii.ac.jp/naid/10025981464
Schools
医学部