Anti-phospholipid syndrome
山口医学 Volume 57 Issue 4
Page 81-89
published_at 2008-08-31
Title
抗リン脂質抗体症候群
Anti-phospholipid syndrome
Source Identifiers
Creator Keywords
抗カルジオリピン抗体
ループアンチコアグラント
全身性エリテマトーデス
動・静脈血栓症
習慣性流死産
抗リン脂質抗体症候群は,抗カルジオリピン抗体やループスアンチコアグラントなどに代表される抗リン脂質抗体(aPL)の出現と,それに伴う動脈・静脈血栓症や習慣性流死産を特徴とする自己免疫性血栓性疾患であるが,その発症機序は未だ解明されていない.我々は,aPLがリン脂質に直接結合する抗体ではなく種々のタンパク分子が酸性リン脂質に結合し構造変化を起こした際に出現する新たなエピトープを認識して結合する抗体であることに着目し,5種類のリン脂質結合タンパク[β2-グリコプロテインI(β2-GPI),プロトロンビン(PT),プロテインC(PC),プロテインS(PS),アネキシンV(AN)]に対するaPLを認識エピトープ別に検出するELISAシステムを確立した.そして各エピトープ認識aPLと血栓性合併症との関連を検討した結果,β2-GPIおよびPTを標的抗原とするaPLは動脈血栓症の発症に関連しており,特に両抗体が共に陽性の患者群は脳梗塞など重篤な動脈血栓塞栓症のhigh risk群であることを明らかにした.一方,PCおよびPSに対するaPLは静脈血栓症で特異的に抗体の出現率が高く,特にPSを標的抗原とするaPLは深部静脈血栓症や肺塞栓症の重要な危険因子であることを見出した.また,ANを標的抗原とするaPLは習慣性流死産の発症に関連していることを確認した.さらにaPLによる血栓形成機序について,β2-GPIおよびPTに対するaPLが血小板の活性化を促進し,この血小板活性化促進作用が動脈血栓形成の重要な要因となることを明らかにした.一方,PSに対するaPLが後天性のAPC-resistance反応を惹起し,静脈血栓塞栓症の発症に強く関連していることを確認した.さらにβ2-GPIに対するaPLが細胞表面組織因子の発現を増加させ,アテローム性動脈硬化症を引き起こすことを明らかにした.
Languages
jpn
Resource Type
journal article
Publishers
山口大学医学会
Date Issued
2008-08-31
File Version
Version of Record
Access Rights
open access
Relations
[ISSN]0513-1731
[NCID]AN00243156
[isVersionOf]
[NAID]http://ci.nii.ac.jp/naid/110006936816
Schools
医学部