山口医学

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山口医学 Volume 59 Issue 1
published_at 2010-02-28

Microglial cytokine and NO production in hypothermia and hyperthermia

低温・高温下におけるマイクログリアのサイトカインおよびNO産生動態(ミニ・レビュー : 中村賞受賞者)
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1.39 MB
B030059000103.pdf
Descriptions
炎症性サイトカインや一酸化窒素(NO)は脳障害増悪に関与することが知られている.活性化マイクログリアはこれらの細胞傷害性(炎症性)因子産生を介しニューロン傷害を引き起こす.よって,脳(ニューロン)保護を目的とする脳低温療法の一作用機序に,活性化マイクログリアからの炎症性因子抑制の関与が考えられる.しかし,その機序は未だ明らかでなく,特に抗炎症性サイトカインに対して低温が及ぼす影響は全く不明であった.そこで,本療法による脳保護作用機構を調べる目的で,リポポリサッカライド(LPS)活性化培養マイクログリアからの炎症性および抗炎症性サイトカインとNO産生に低温・高温が及ぼす影響を調べた.その結果,低温下ではマイクログリアからの炎症性サイトカイン(IL-6),抗炎症性サイトカイン(IL-10)およびNO産生が低値を示すことが判明し,脳低温療法による脳保護作用の一機序に,炎症性因子抑制のみでなく,抗炎症性因子抑制も関与する可能性が示唆された.また,高温下ではマイクログリアからのIL-10産生が特異的に増加することも初めて証明した.このIL-10の温度依存性変化は,IL-10が低温下でのニューロン保護効果および高温下でのニューロン傷害増悪において,病態把握のための重要なマーカーになりうることを示唆している.
Creator Keywords
脳低温療法
マイクログリア
炎症性サイトカイン
抗炎症性サイトカイン
一酸化窒素