山口医学

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山口医学 Volume 53 Issue 3
published_at 2004-06-30

A case of hepatocellular adenoma with difficulty in preoperative diagnosis

術前診断が困難であった肝細胞腺腫の1例
Ozasa Hiroaki
Shimizu Ryoichi
Toshimitsu Hiroaki
Matoba Katsuhiro
Maeda Yoshinari
fulltext
1.39 MB
B030053000307.pdf
Descriptions
症例は74歳男性.呼吸困難・全身浮腫を主訴に来院した.血液検査にて著明な貧血と肝酵素の上昇を認め,腹部超音波検査にて肝左葉外側区域中央部を置換する径7×6cmの腫瘍性病変が判明した.超音波下経皮肝腫瘍針生検は,穿刺行為により腫瘍細胞の腹腔内散布が危倶され不適切と判断された.腹部CT検査では胆管細胞癌,血管肉腫が疑われ,腹部MRI検査では肝細胞癌,肝細胞腺腫,悪性黒色腫の肝転移,血管筋脂肪腫などが疑われた.しかし,確定診断に至ることはできず,結局開腹術を行い,直視下に肝S3の非腫瘍部から腫瘍部に向けて針生検を行い,迅速病理組織検査にて肝細胞腺腫の診断を得た.手術は肝外側区域切除を行った.永久標本でも腫瘍は肝細胞に類似した異型に乏しい細胞からなっており,肝細胞腺腫の像を呈していた.肝細胞腺腫は画像診断において悪性疾患との鑑別が困難な場合がある.今回我々は,画像診断上,悪性疾患との鑑別が困難で,その占拠部位から術前超音波下経皮針生検が不適切と考えられる肝腫瘍性病変に,術中迅速病理組織検査を併用した外科手術で確定診断が得られた肝細胞腺腫の1例を経験したので報告する.
Creator Keywords
肝臓
肝細胞腺腫
Rights
本文データは山口大学医学会の許諾に基づきCiNiiから複製したものである