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IL-6 levels correlate with prognosis and immunosuppressive stromal cells in patients with colorectal cancer

DT11101683_Abstract.pdf
[abstract] 1.49 MB
DT11101683_FullText.pdf
[fulltext] 3.92 MB
Title
切除可能結腸直腸癌患者におけるIL-6発現と予後、腫瘍間質免疫抑制性細胞の関係
IL-6 levels correlate with prognosis and immunosuppressive stromal cells in patients with colorectal cancer
Degree 博士(医学) Dissertation Number 医博甲第1683号 (2023-09-26)
Degree Grantors Yamaguchi University
[kakenhi]15501 grid.268397.1
Abstract
【背景】結腸直腸癌(colorectal cancer:CRC)の予後については、腫瘍の特性だけでなく、宿主の免疫反応も重要な因子となる。我々は宿主の免疫反応として全身および腫瘍微小環境(tumor microenvironment: TME)の炎症性サイトカイン発現に注目し、これらを評価することにより、免疫抑制状態と患者の予後との関係を検討した。
【方法】
切除可能CRC患者209名において、術前に採取した血清サンプルを用いてサイトカイン濃度(IL-1β、IL-6、IL-8、TNF-α)を電気化学発光法により測定し、予後との関連を検討した。また切除切片における腫瘍組織でのサイトカイン発現を腫瘍細胞、間質細胞に分けて免疫組織化学的に評価した。さらに、切除したCRC患者10例において、新鮮な切除切片から抽出した腫瘍浸潤細胞を用いたマスサイトメトリーによるシングルセル解析を行った。
【結果】
無再発生存期間において、血清IL-1β、IL-8、TNF-α濃度の高低では有意な関係を認めなかったが、血清IL-6高値群で有意に予後不良であった。また血中IL-6濃度上昇は腫瘍組織中の間質細胞におけるIL-6高発現と関連していた。シングルセル解析の結果、腫瘍浸潤免疫細胞のうちIL-6+細胞は主に骨髄球系細胞で構成され、リンパ球系細胞ではIL-6発現をほとんど認めなかった。またIL-6高発現群では、CD33+HLADR-骨髄由来抑制細胞(myeloid-derived suppressor cell: MDSC)およびCD4+FOXP3highCD45RA-エフェクター型抑制性T細胞(effector regulatory T cell: eTregの割合がIL-6低発現群に比べ有意に高かった。さらに、MDSCにおけるIL-10+細胞の割合、eTregにおけるIL-10+細胞またはCTLA-4+細胞の割合は、IL-6高発現群で有意に高かった。
【結論】血清IL-6濃度の上昇は間質細胞のIL-6発現と関連し、予後不良であった。腫瘍浸潤免疫細胞におけるIL-6高発現は、TMEにおけるMDSCやeTreg等の免疫抑制性細胞の蓄積と関連し、その機能性マーカーの上昇も認めた。これらIL-6を介した抑制性免疫機構がCRC患者の予後不良の一因となっている可能性がある。
Creators 山本 常則
Languages jpn
Resource Type doctoral thesis
File Version Version of Record
Access Rights open access