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published_at 2022-04
背景:経食道心エコー図検査(TEE)は、心房細動(AF)に対する肺静脈隔離術(PVI)前の左心房(LA)および左心耳(LAA)における血栓の有無の評価を行うゴールドスタンダードな検査である。TEEは比較的安全とされているが、近年PVIに先行するTEEが食道粘膜損傷(EMI)を引き起こす可能性があることが報告された。 目的:PVIを施行したAF患者におけるTEE関連EMIの発生率とその危険因子を検討すること。 方法と結果:3D TEEプローブを用いた術前TEEと術後上部消化管内視鏡検査を受けたPVI患者262人を対象とした。TEE関連EMIは16人(6.1%)の患者(18病変)、PVI関連EMIは5人(1.9%)の患者(8病変)で認められた。TEE関連EMIは上部食道の右側と中部食道の左前側で多く認められた。1人の患者で軽度の胸部違和感を認めた。多変量解析では、高齢はTEE関連EMIの独立した危険因子であった(オッズ比1.08、95%信頼区間1.01-1.16;P=0.0274)。 結語:3D TEEプローブによるTEE関連EMIは、PVI施行患者の6.1%で認められ、高齢であることはTEE関連EMIの危険因子であった。これらの所見から、特に高齢患者においては、LA・LAAにおける血栓評価として他の画像診断を考慮する必要があるかもしれない。
Creators : 小室 あゆみ
published_at 2022-01
近年、遺伝子改変T細胞を用いた養子免疫療法の臨床応用が進められているが、未だ治療成績は満足のいくものではなく、更なる治療の進歩が求められている。我々はこれまで、自律性にIL7とCCL19を発現するCAR-T細胞(7×19 CAT-R細胞)が優れた抗腫瘍活性を発揮することを示した。本研究ではIL7及びCCL19がTCR-T細胞の抗腫瘍活性を増強させる可能性を検証するため、腫瘍抗原であるP1Aを特異的に認識するTCR-T細胞(P1A-T細胞)にIL7及びCCL19を分泌させる遺伝子改変を加えた7×19 P1A-T細胞を作製した。P1Aを有する細胞株であるP815を皮下接種したマウスに対する養子免疫療法において、7×19 P1A細胞はIL7及びCCL19を分泌しないP1A-T細胞(Conv. P1A-T細胞)と比較し優れた抗腫瘍効果を示した。腫瘍拒絶マウスにおいては、Conv. P1A-T細胞を使用したマウスと比較し優れた免疫記憶が形成されていた。また抗PD-1抗体を用いた複合免疫療法を行うことで、7×19 P1A-T細胞の有する抗腫瘍効果は更に増強された。CRISPR/ Cas9システムを用いPdcd1をknockdownした7×19 P1A-T細胞は対照7×19 P1A-T細胞と比較し強い抗腫瘍効果を示したが、抗PD-1抗体を併用することで更なる抗腫瘍効果の増強を認めたことから、7×19 P1A-T細胞の発揮する抗腫瘍効果には7×19 P1A-T細胞そのものばかりでなくマウス内在性のT細胞が関与していることが分かった。また、7×19 P1A-T細胞においても抗PD-1抗体との併用により抗腫瘍効果が増強することを確認した。本研究における検証により、7×19 TCR-T細胞及び7×19 CAR-T細胞を用いた免疫療法が抗悪性腫瘍療法の発展に寄与できる可能性が示された。
Creators : 德永 良洋
published_at 2022-03
Creators : 柴田 義大
published_at 2022-03
This PhD thesis addressed current knowledge gaps regarding microplastic pollution as well as developed new insights into occurrences and fate of microplastics within marine and freshwater systems,prominent sources-to-sinks phenomena,and ecological risk assessments with global relevance.
Creators : KABIR A.H.M. ENAMUL
published_at 2022-03
近年,情報通信技術の進化は著しく,データ主導型社会への転換が進むなか,公共データの活用促進,すなわち「オープンデータ」の動きが世界的に広がっている.わが国でも2012年には「電子行政オープンデータ戦略」が政府決定され,オープンデータが本格的にスタートした.オープンデータは,単なる情報公開にとどまるものではなく,公共データを二次利用可能な形(機械判読に適したデータ形式,無償,再配布可能等)で民間に開放することにより,データがこれまで以上の価値を生み出すことを狙うものである. 災害対策,土木・建築事業,ヘルスケア分野など,様々な分野でオープンデータの活用が始まっており,実際に公共の利益に資する例やビジネスの収益をもたらす例などを,確認することができる.しかし,オープンデータに取り組んでいる地方公共団体は未だ100%には至っていない.また,行政が掲げているオープンデータに取り組む意義・目的のすべてが達成されているとは言い難い状況にある. そこで本論文では,研究の対象主体を地方公共団体に定め,わが国のオープンデータを取り巻く生態系(エコシステム)について仮説を立て,実証実験を行い,地方公共団体のオープンデータ推進を阻む問題点と解決方法を明らかにすることを主たる研究目的とする.そのうえで,オープンデータの付加価値向上の検討を次の目的とする.具体的には,公開されている公共データを情報・ナレッジにまで加工し公表することで,地域社会の課題解決に貢献できるか検討することを目指す. これらの目的を遂行するために,本論文は次の3つのテーマに取り組む.(1)全国の地方公共団体のオープンデータ取り組みの実態を明らかにし,そこに潜む課題を明確にする.(2)わが国のオープンデータの生態系に登場する,データ提供者,サービス利用者,インフラ提供者などのアクター間の関係を包括的に考察し,地方公共団体がオープンデータを推進するための新たなモデルを提案する.(3)地域活性化にかかわる政策の,提言・評価に直接役立つように「データを情報に変換する」という試みを通じて,オープンデータ活用の更なる可能性を論じる. 本論文の主要な成果は以下の通りである.地方公共団体のオープンデータ推進の実態解明では,市区町村レベルで当該取り組みを促進するには自治体間の連携が重要であることを明らかにし,自治体間連携には3つのタイプがあることを示した.次に,総務省が実施したアンケート調査を自治体の人口規模別に分析することにより,市町村レベルで推進が進まない要因を明らかにした.また,既存のホームページによるデータ公開と,新たなオープンデータによるデータ公開が混在する現状を整理し,そこに潜む課題を明確にした.以上の結果を踏まえたうえで,オープンデータ・エコシステムという枠組みで現状をモデル化し,新たに”データ仲介者”という活動主体での取り組み方法を提案した.そして,都道府県が公開している社会指標を研究対象に選択し,山口県庁にて実験を行い,提案するモデルの効果を実証した.最後に,公共データの一歩進んだ活用法として産業連関表を用いた経済波及効果推計法を提案し,IT産業の立地が少ない地方公共団体では経済波及効果の相当規模が域外に漏出してしまうことを明らかにした.これにより,データの持つ価値を高めて,政策評価にも応用できることを示した. 本論文は,以下の8章から成る. 第1章では,序論として研究の背景,目的および構成について記載する. 第2章では,自治体の情報化推進の歴史を概観したうえで,オープンデータについて定義や意義などを整理し,地方公共団体が直面する課題について論じる. 第3章では,上述の3つのテーマ(1)~(3)に対する先行研究について述べ,本論文が目指す点を明示する. 続く第4章から第7章が,本論文の主な研究成果になる.テーマ(1)は第4,5章に,テーマ(2)は第6章に,テーマ(3)は第7章に相当する. 第4章では,都道府県別にその管内の全市区町村のなかでオープンデータをインターネットで提供している市区町村の割合を算出し,訂正調査と組み合わせて分析した結果について述べる.市区町村のオープンデータの促進には,自治体間の連携が重要であることを明らかにし,自治体間の連携に3つのタイプがあることを示した.そのなかで,”都道府県がポータルサイトの公開機能を市区町村に提供し,その機能を利用して管内自治体が自らオープンデータをアップロードするタイプ”が最も有望であることを示した. 第5章では,より深く地方公共団体のオープンデータ推進の現状を解明する.先進自治体にインタビュー調査を実施したうえで,総務省が実施したアンケート調査結果を再分析し,自治体の人口規模の際により,オープンデータの公開状況に生じる違いについて定量的に検証した.その結果,①地方公共団体のオープンデータ推進には当該団体の人口規模が大きく関係していること,②現状では従来からのホームページサイトと,新たなオープンデータサイトが混在していて,「データの重複に伴う問題」が存在すること,の2点を明らかにした. 第6章では,オープンデータ・エコシステムの枠組みを用いて,わが国のオープンデータを取り巻く世界を描出し,新たに”データ仲介者”という活動主体を取り入れたモデルを提案した.従来,行政には専ら”データ提供者”の立場が求められてきたが,”データ仲介者”の立場を主体的に採ることで,少ないリソースでも付加価値を高めたデータを公開できることを示した.このことを山口県庁での社会指標を対象にした実験で検証した. 第7章では,情報・知識への返還を通じて公開データの価値を高め,政策の提言や評価に繋げることが可能であるかの検証を行った.具体的には,産業連関表を用いた「簡便差分法」という手法を提案し,ソフトウェア系IT企業が都市部に偏在する特徴が,地方公共団体のデジタル化投資の経済効果にどのような影響を及ぼすかを分析した.その結果,IT産業の立地が少ない地方公共団体では,経済波及効果の相当規模が域外に漏出してしまうことを明らかにした.この情報は政策評価に繋がる可能性を持つ. 最後に,第8章で,本論文の総括として,各章の成果をまとめ,今後の課題を論じた.
Creators : 中村 英人
published_at 2022-03
Creators : Ngo Thuy Bao Tran
published_at 2022-03
Creators : Chaiyasing Rattanatrai
published_at 2022-03
Many infrastructures constructed in the period of high economic growth are currently deteriorated and need renewal / repair. Considering the future situation, new-build infrastructures should be more durable, so the use of high-strength materials capable of reducing maintenance and management costs is preferable. A suitable construction material for the future situation is an ultra-high-strength fiber-reinforced concrete (UFC). General UFCs are cured under high temperature (at 90℃ for 48 hours). Most UFC members are often made in precast-concrete factories with dedicated curing facilities. A UFC manufacturable at general ready-mixed concrete plants has been required for various constructions using cast-in-placed concrete. The study focused on the mixture design and the manufacturing method of UFC without heat-curing. The targeted strength of the UFC was 200 N/mm^2 at the concrete age of 28 days. To achieve the required performance for UFC, the experimental study was designed and conducted. The thesis consists of seven chapters, and the content of each chapter is as follows: Chapter 1 "Introduction" shows the social concern in Japan, such as the present conditions of infrastructures. In addition, the chapter summarizes the transition of high strength concrete and fiber-reinforced concrete. The research background and the purpose of this study are described in this chapter. Chapter 2 "Previous studies" shows the review of previous studies dealing with investigations on UFC. In addition, the chapter clarifies the problem of UFC manufacturing by referring to the previous studies. Chapter 3 "Mixture design", the materials and mixture proportions required for the UHPC manufacturable under ambient temperature conditions were investigated. Five types of cement and four types of powder materials were tested, as well as the fine aggregate needed to achieve proper fluidity, fiber dispersibility and strength. To achieve the appropriate flowability and adequate strength, the cement having low C_3A and high C_3S was suitable for the UHPC manufacturable at ambient temperatures. Furthermore, the mortar with W/B of 21% achieved 200 N/mm^2 at 28 days, so it can be designed as the maximum W/B for the UFC. The test result confirmed that allowable fine aggregate volume was lower than 600 kg/m^3 to obtain proper dispersion of steel fibers. Chapter 4 "Material properties and durability of hardened UFC", the hardening material properties and durability of the UFC designed in Chapter 2 were examined. The result confirmed that the UFC achieved 196 N/mm^2 at the age of 28 days. The UFC exhibited an excellent cracking strength and tensile strength which were almost equivalent strength of the conventional UFC. In addition, the UFC indicated excellent resistances to various degradation effects, such as neutralization, freezing and thawing, permeability of chloride ions, and sulfate attack. On the other hand, the UFC had low resistance to sulfuric acid and large autogenous shrinkage strain. The properties should be considered in the application of prestressed concrete owing to the loss of prestress. Chapter 5 "Manufacturing method in RMC plant" reports the manufacturing methods at the ready-mixed concrete (RMC) plant. The result confirmed that UFC can be manufactured at a general RMC plant, the equipment although mixing time varies owing to the mixer capacity. In addition, the mixing methods of steel fibers were compared. Owing to the high viscosity of the UFC, undischarged UFC from the truck was approximately 190 L, which was extremely higher than ordinary concrete (80 L). The compressive strength of UFC using several types of fine aggregate were examined. The result suggested that the evaluation of the properties of fine aggregates in the UFC is necessary for the practical use. Chapter 6 "Practical applications of UFC" verifies the applicability of UFC of at sites. The result confirmed that the mixing-load increased in proportion to the mixing volume, the maximum mixing volume was identified as 80% of the capacity of mixer. The results showed that the UFC made in a RMC plant indicated stable fresh and strength properties for a few months. Furthermore, the production of UFC with onboard mixers was tested. The result confirmed that the method reduced the material-loss during transportation. The surface-finish of UFC was also evaluated by comparing the results obtained from a soil hardness tester. Moreover, the heat curing conditions of UFC were investigated. The result confirmed that the highest temperature and the curing time for the heat curing were lower and shorter than the standard heat curing (at 90℃ for 48 hours), respectively. Chapter 7 "Conclusions" presents the remarkable conclusions in this study and further research for the practical application of the UFC.
Creators : Tamataki Koji
published_at 2022-03
近年、イヌ・ネコ・フェレットといった様々な動物が愛玩動物として飼育されており、ヒトと同様に多様な感染症に罹ることが知られている。愛玩動物における感染症の治療法や診断法を確立することはOne Healthの観点でも重要で、ヒトの健康の維持に直結するような公衆衛生上重要な課題である。ネコヘルペスウイルス1(FHV-1)は猫ウイルス性鼻気管炎の原因となるヘルペスウイルスとして知られ、上部呼吸器症状や流産などを引き起こす。インフルエンザAウイルス(IAV)は人において呼吸器症状を引き起こす季節性のウイルスとして知られ、イヌ・ネコ・ブタといった様々な動物に感染することが知られている。季節性のIAV以外にも、動物の体内で生まれる遺伝子再集合体のパンデミックも問題となる。本研究では、愛玩動物に感染が認められる上記の2種類のウイルスを解析し、FHV-1の新規治療薬の提案とIAVの診断法の確立を目的とし、全2章で構成された。
Creators : Kuroda Yudai
published_at 2021-12
オメガ3長鎖多価不飽和脂肪酸(ω-3)は海産魚や魚油に含まれる必須脂肪酸で、抗炎症効果を有することから非感染性ぶどう膜炎の有効な治療になる可能性がある。多くのぶどう膜炎でみられる獲得免疫による炎症反応は、樹状細胞(DC)、マクロファージ、およびBリンパ球を含む抗原提示細胞(APC)による抗原提示から開始され、炎症のトリガーとして重要である。これまでに我々はω-3長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)が、実験的自己免疫性ぶどう膜炎モデル(EAU)の眼炎症を抑制することを示した。今回、ω-3によるEAUの抗炎症効果に対する APCの関与を検討し、その作用機構について解析した。 C57BL/6マウスに等カロリーに調整したω-3もしくはω-6を含有した餌で給餌し、安楽死後に回収した脾臓細胞をマイトマイシンC処理してAPCを調整した。これらをEAU誘導したマウスから単離したCD4陽性T細胞と共培養し、種々の炎症性サイトカインの発現量および3H-チミジン取り込み量を指標とした増殖能を評価した。次にω-3群のAPCをDC、マクロファージ、B細胞を含む残りの細胞群(B細胞他)に分離し、ω-3の炎症作用を担当する細胞を探索した。続いて、ω-3で賦活化したDCによる抗炎症効果を検討するため、ω-3群のDCを単離し、EAUを誘導したマウスにAdoptive transfer(養子細胞移植)し、臨床および組織学的スコアを評価した。最後にω-3がDCに直接作用して抗炎症効果を発揮するか否かを検討した。 C57BL/6由来DCとBALB/c由来CD4陽性T細胞を混合培養して混合リンパ球反応MLR(mixed lymphocyte reaction)を誘導した培養系に、代表的なω-3脂肪酸であるDHAおよびEPAを投与し、T細胞増殖能を評価した。 ω-3群のAPCは、ω-6群に比較してIFN-γ、IL-17の発現量およびT細胞増殖能を有意に低下した。その抗炎症効果はAPCから単離したマクロファージやB細胞他ではみられず、DCのみで保存された。さらに、ω-3群のDCをAdoptive transferしたEAUマウスでは、炎症スコアが有意に低下した。DHA・EPAで賦活化したDCはMLRによるT細胞増殖能を有意に抑制した。 以上より、ω-3の経口摂取によるEAUの眼炎症抑制効果は、APC、特にDCを介在して発揮されることが示された。
Creators : 内 翔平
published_at 2021-10
ラット坐骨神経結紮モデル(SNL)は最も一般的に神経障害性疼痛の実験に用いられるモデルラットであり、運動麻痺を生じないことでも知られている。神経障害性疼痛モデルの疼痛評価にはこれまでフォンフレイテスト(機械的アロディニア評価)と熱刺激回避テストが用いられてきた。しかしこれらのテストは臨床で用いられる神経学的検査とは全く異なる手法での評価である。神経障害性疼痛を有する患者では、両下肢の協調運動が乱れ,歩行時の下肢の動きに左右差を生じていることが多い。本研究において、私達はヒトと同様な疼痛行動や疼痛に伴う歩行障害などが実際には生じているのではないかと考え、三次元歩行解析を行いて本モデルの関節の動きや歩行時の動態解析を行った。今回の解析にはキネマトレーサーシステムを用いた。 機械的アロディニアに関するSNLの効果として術後1週間から8週間にわたり、回避行動閾値の47±6.1%の低下を認めた。SNLラットにおける股関節・膝関節・足関節のマーカーの矢状面の軌跡は歩行中に大きな変動を認めた。歩行中の不安定性を示す患側左股関節・膝関節の上下端の高低差は、SNLラットでほうが有意に大きかった。歩行パターンを示す、両足同時接地時間はSNLラットのほうが有意に長い結果であった。左右下肢の協調運動を評価するため、両下肢の歩行周期時間も計測した。歩行周期の左右差を示す左右比は、コントロール群のラットでは1.0±0.08と左右差がほぼないのに比較し、SNLラットでは0.62±0.15と有意に左右下肢の歩行周期が異なることが示唆された。 フォンフレイテストや熱刺激回避テストは臨床現場で使用されることのない疼痛機能評価であるが、こうした新しい三次元歩行動態解析技術を用いることができれば、神経障害性疼痛患者における疼痛行動も、定量的かつ数値化して示すことが可能になる可能性について示すことができた。従来の神経障害性疼痛モデルにおける、疼痛機能評価に関する臨床と実験モデルの大きなかけ離れについての問題点を解決し、将来的にはヒトでの機能評価にも応用できる新しい三次元歩行動態解析技術について報告し、実際のラット坐骨神経結紮モデルでのデータを示した。
Creators : 瀬戸 隆之
published_at 2022-01
新規ヒトin vitroおよびex vivo BBBモデル,in vivo モデルを用いて,NMOSDの病態生理とサトラリズマブの作用機序を,BBB破綻の点から検討した.血管内皮細胞に対するペリサイトおよびアストロサイトの足突起の接触を再現した3層共培養系を構築し,これを用いて静的in vitroモデルおよび流速負荷型ex vivoモデルを作製した.これらのBBBモデルを使用し,バリア機能の持続測定,白血球のmigration,NMO-IgGとサトラリズマブのBBB透過性を評価した.In vivo研究では,脊髄中でIL-6が著増するEAEマウスのin vivoでのBBB破綻に対して,マウスIL-6受容体抗体MR16-1が与える効果を評価した.In vitroおよびex vivoでの実験では,NMO-IgGがサトラリズマブおよびNMO-IgGの脳内透過性を亢進させること,サトラリズマブがNMO-IgGが誘導するT細胞のmigrationとBBB破綻を抑制することが示された.In vivo研究では,IL-6シグナル伝達の阻害によって,T細胞の脊髄への浸潤が抑制され,脊髄炎の発症が抑えられた.これらの結果から以下のことが示された.(1)我々が作製した,3層共培養によるin vitroおよびex vivo BBBモデルは,バリア機能,白血球のmigration,脳内移行性を評価するために理想的なBBBモデルである.(2)NMO-IgGは,バリア機能の減弱によってNMO-IgG自身の透過性を亢進し,アストロサイトからのIL-6分泌を誘導し,さらなるバリア機能の障害と細胞浸潤の制御破綻を引き起こす.(3)サトラリズマブは,NMO-IgGの共存下でBBB通過が容易となり,BBB機能障害と炎症細胞浸潤を抑制する結果,NMOSDの発症を予防する.
Creators : 藤川 晋
published_at 2022-03
Fiber-reinforced polymer (FRP) rods fabricated from unidirectional fibers and a polymer matrix strengthen effectively reinforced concrete (RC) members. The pultrusion is a production method of FRP rod. The FRP rods show various advantages, such as light and no-corrosion. Most FRP rods have higher tensile strength than standard steel bars. Therefore, the FRP rods can be used as an alternative reinforcement of steel bars in RC structures. In addition, FRP rods can be applied in near-surface mounted (NSM) systems for strengthening existing concrete structures. The tensile properties of FRP rods in adhesively bonded anchorages are expected to be studied in detail. Numerous experimental studies were conducted on FRP rods made of glass, carbon, aramid, or basalt fibers. The previous studies have reported that the tensile properties of FRP rods are affected by the shear-lag effect. However, these studies referred to the tensile failure, the shear-lag effect of FRP rods as a phenomenon without a mechanical explanation. Moreover, the effects of mechanical properties of fibers, matrix, fiber-matrix interface on FRP rod properties have not been investigated in detail. To quantify factors affecting the tensile properties of FRP rods, this study performed a numerical investigation on aramid FRP rods to assess the shear-lag effect, tensile load-capacity, and tensile strength. In addition, the effects of fiber, matrix, and fiber-matrix interface on the behavior of FRP material in three dimensions were demonstrated by micro-models. Firstly, two representative volume element (RVE) models of fibers and matrix were proposed to predict engineering constants and strengths of the FRP material in three dimensions. Based on the predicted strength, the criteria were designed. Then, the main simulation, including the FRP rod, the filling material, and the steel tube, was carried out to analyze FRP rods under the variation of interfacial conditions between materials, including full-bonding strength and partiallybonding strength models. In the partially-bonding strength model, the interfaces between materials were simulated as cohesive zone models with the variation of bond strengths and fracture energy release rate. A technique called submodeling was applied to enhance the simulation results. The submodel was cut from the main simulation model and only applied to simulate FRP rods with finer meshes. The study proposed a procedure for calculating the stress distribution in any cross-section of an FRP rod. The simulation results agreed well with the previous experimental study. The findings clearly indicated the position of the failure section in which the tensile stress distribution is unequal. The load-capacity, failure modes, shear-lag effect were predicted based on the maximum stress criterion. The results revealed that the FRP material strengths enforce the failure in two modes associated with the transverse and longitudinal directions of FRP rods. In addition, diameter is a significant factor that increases the shear-lag effect and reduces the tensile strength of the FRP rods. The numerical simulation provided a new method to predict the load-capacity of FRP rods. The study consists of 6 chapters. Outline of the chapter was presented as follows: Chapter 1 introduces about kinds of FRP rods and their application in civil engineering. The chapter shows the research objects, the gaps in composite studies, and the scopes of the present research. Chapter 2 summrizes the review of previous studies related to the theoretical studies of the composite materials. The chapter reveales the gap of theory. In addition, the study compares the advantages and disadvantages of previous studies and proposes methods and models for the present study. Chapter 3 presents the simulations of the representative volume element (RVE) models to determine the mechanical properties and strengths of composite materials. The study investigates the effects of the fiber properties and fiber-matrix interface on composite mechanical properties in detail. The RVE-1 model was employed to predict engineering constants of the FRP material. The RVE-2 was applied to predict the tensile and shear strengths in three dimensions. Chapter 4 shows the numerical simulations of the FRP rod tensile tests with various cases of the materials in Chapter 3. The models are built in two cases of the interface between the FRP rod and filling material: full-bonding and partially-bonding strengths. In the case of the full-bonding strength, three models are built with three hypotheses of FRP rod material. Three models, A, B, and C, were proposed to demonstrate the effect of fiber properties on FRP properties. Model A was built based on the hypothesis that the FRP rod is made of transversely isotropic fibers. Model B was made to simulate with an FRP rod of isotropic fibers. Model C assumes the FRP rod as an isotropic material. In the case of the partially-bonding strength, the study models various interface cases between the FRP rod and the filling materials to investigate the bonding effects. The proposed models were applied to simulate FRP rods from D3 to D8 to analyze the diameter effect. In Chapter 5, the difference between the proposed models was discussed to show the advantages and disadvantages of each model. Firstly, the study compared models (A, B, and C) to highlight the effect of fiber properties on FRP rods. Secondly, the study compared the partially-bonding strength and full-bonding strength models to investigate the bonding effects on the tensile properties of FRP rods. Moreover, the chapter illustrates the existence of the shear-lag effect and demonstrates the diameter effect on tensile strength in FRP rods. Chapter 6 summarizes the novel findings and research significance of the study. In addition, recommendations for future works were also presented.
Creators : Vo Van Nam
published_at 2022-03
Nutrient pollution is one of our most pervasive, expensive, and challenging environmental problems, according to the United States Environmental Protection Agency (EPA). Phosphorus is one of the nutrients that are essential for the growth of living organisms. However, excessive amounts of nutrients released into the environment by human activities can harm ecosystems and impact human health. In surface waters, phosphorus can contribute to an overgrowth of algae called algal "blooms" that can sicken or kill wildlife and endanger aquatic habitats. Algal blooms consume dissolved oxygen in the water, leaving little or no oxygen for fish and other aquatic organisms. Algal blooms can harm aquatic plants by blocking the sunlight they need to grow. Some algae produce toxins and encourage the growth of bacteria that can make people sick who are swimming or drinking water or eating contaminated fish or shellfish. Phosphorus is often a major limiting nutrient freshwater system. Consequently, many of the wastewater treatment plant discharged into freshwater systems such as lakes, ponds, and rivers have phosphorus discharge limits. In an attempt to prevent harmful environmental effects of excess phosphorus, several techniques have been designed to remove phosphorus from wastewater. These techniques range from adsorption and precipitation to enhanced biological phosphorus removal and constructed wetlands. Biological phosphorus removal (BPR) was first used at a few water resource recovery facilities in the late 1960s. A common element in EBPR implementation is the presence of an anaerobic tank (no nitrate and oxygen) before the aeration tank. In the next aerobic phase, these bacteria can accumulate large amounts of polyphosphate in their cells and phosphorus removal is said to be increased. The group of microorganisms that are largely responsible for P removal are known as the phosphorus accumulating organisms (PAOs). One of the options to remove phosphorus is to utilize bacteria from nature, besides being easy to obtain and inexpensive. The application of bacteria from sediment and seawater was able to reduce phosphorus in wastewater. In this study, for screening salt-tolerant phosphorus accumulating organisms (PAOs) and investigating the P release and uptake of the organisms in saline wastewater. The samples used were sediment and seawater from Yamaguchi Bay, Yamaguchi, Japan. Sediment and seawater added 150 mL of artificial saline wastewater with media (anaerobic media). The samples were then cultured and given feed media every three hours day at 25 °C and shaken at 140 rpm. The hydraulic retention time of the cultivation was 16 h and 8 h under anaerobic and aerobic conditions, respectively. 10 sponges made of polyurethane with dimensions of 2 cm were put in Erlenmeyer flasks and was used as a bio-carrier surface for microorganisms to adhere to. Water was passed over the sponge surface to acclimatize the microorganisms growing outside the sponge as well as within its pores, ensuring sufficient growth surface. The cultivation duration was 112 days. Batch experiments were conducted over 98 days in solutions with a salinity of 3.5% and P concentrations of 1, 5, 10, and 20 mg-P/L. The P-uptake ability of microorganisms increased by increasing P concentration from 1 to 20 mg-P/L. A high P removal percentage with an average of 85% was obtained at 10 mg-P/L after day 56. The uptake and release of P were observed in saline wastewater, signifying that salt-tolerant PAOs could grow in the saline solution. Bacterial screening by isolation and sequence analysis using 16S rRNA demonstrated that two cultivated strains, TR1 and MA3, had high similarity with Bacillus sp. and Thioclava sp. EIOx9, respectively. The colony morphology analysis showed that the colonies of TR1 were rod-shaped, milky-colored, round, shiny-viscous, smooth with a defined margin, while colonies of MA3 were cream-colored with smooth surfaces and raised aspect. The TR1 was gram-stain-positive with approximately 6-10 μm long and 1.2 μm wide cells, and MA3 was gram-stain-negative with about 0.9 μm long and 0.5 μm wide cells. The results demonstrated the involvement of Bacillus sp., and Thioclava sp. in the release and uptake of P, owing to their ability to grow in saline wastewater. Furthermore, Bacillus sp. (TR1) and Thioclava sp. (MA3) were assessed for their abiotic adaptability and phosphorus removal efficiency in saline wastewater. The effects of abiotic factors such as carbon source, pH, temperature, and salinity on bacterial growth were examined through a series of batch experiments. Both bacteria used carbon sources such as glucose, sucrose, and CH3COONa for their growth. The pH study indicated that Bacillus sp. (TR1) preferred the pH range of 6 8 and Thioclava sp. (MA3) preferred the pH range of 6-9. Bacillus sp. favorably multiplied in the temperature range of 25- 40 °C, while 25 35 °C was preferred by Thioclava sp. Salinity range of 0% 10% was favorable for TR1, with optimum growth observed at 3.5% 5%, and Thioclava sp. (MA3) preferred the salinity range of 1% 10% with optimal growth at 4%, but was absent in non-saline water. Bacillus sp. and bacterial combination (TR1 and MA3) showed similar values for phosphorus removal efficiency (100%) at 1.0 mg-P/L total P compared to Thioclava sp. (38.2%). The initial phosphorus concentration of 2.5 mg-P / L showed a slightly higher 72.35% P removal efficiency compared to the individual strains. However, phosphorus removal did not increase, but showed a downward trend with increasing at initial phosphorus. The combination possibly built a synergistic activity between the individual strains to remove phosphorus. The results demonstrated that when used individually, Bacillus sp. showed a reasonably high phosphorus removal ability than Thioclava sp., and exhibited good synergy when used in combination to remove phosphorus from saline wastewater.
Creators : Hasanah Rafitah
published_at 2021-11
本研究の目的は、健常人において、血漿中の尿酸値(UA)と分枝鎖アミノ酸および芳香族アミノ酸(BCAAおよびAAA)の濃度の関連を明らかにすることである。 合計2,804人の健常人について、血漿UAレベルに応じて3つのグループに分類した。その3グループ間における、BCAAとAAAの濃度の関連を、分散分析(ANOVA)と共分散分析(ANCOVA)により解析した。 この研究で対象としたすべてのBCAAとAAAの濃度は、トリプトファンを除き、全てがUA濃度の各レベルに応じて、漸進的に有意に増加した(P<0.001)。また、全体として、個々のBCAAおよびAAAについて、最低のカテゴリーの差にくらべ、高いカテゴリーの差の方が、より大きかった。本研究は、血漿中のBCAAおよびAAAと、UAのレベルについて、潜在的に、密接な関係が存在していることを示唆した。今後、それらの間の因果関係および相互作用を解明する研究が必要である。
Creators : 石丸 泰隆
published_at 2021-12
抗がん剤の副作用である口腔粘膜炎の改善にはエレンタール^(R)は有効であることが報告されている。5-フルオロウラシル (5-FU) の副作用には口腔粘膜炎がある。そこでエレンタール^(R)の中で口腔粘膜炎の改善に最も有用な成分の特定を試みた。マウス(対照群を除く)に5-FUを4日間腹腔内注射し、生理食塩水(対照群、5-FU群)、デキストリン(デキストリン群)、アミノ酸(17AA群)、エレンタール^(R)(エレンタール^(R)群)のいずれかを7日間投与した。
Creators : 藤原 里衣子
published_at 2022-01
(目的)排卵期の黄体形成ホルモン(LH)サージは、顆粒膜細胞(GCs)において、遺伝子発現や細胞機能の急激な変化を引き起こし、黄体化を誘導する。本研究では、黄体化過程のGCsにおける遺伝子発現の経時的変化と、エピジェネティックな遺伝子発現制御機構に着目し、ゲノムワイドに黄体化過程の遺伝子発現と細胞機能変化を明らかにすること、および遺伝子発現制御や細胞機能変化とヒストン修飾H3K4me3変化の関連性を明らかにすることを目的とした。 (方法)幼若雌マウスにeCG-hCG注射による過排卵刺激を行い、hCG投与前、投与後4時間、12時間の時点でGCsを回収し、RNAシークエンスとH3K4me3抗体を用いたChIPシークエンスを行った。 (結果)RNAシークエンスにより、多数の発現変動遺伝子が同定され、遺伝子発現の時間的変化に応じて8つのパターンに分類された。多くの遺伝子は、hCG刺激後4時間で一過性に発現上昇または低下していた。これらの遺伝子群に関連する細胞機能をGene Ontology解析で調べたところ、ステロイド産生、排卵、卵丘細胞複合体の膨化、血管新生、免疫、活性酸素代謝、炎症反応、脂質代謝、オートファジーが同定された。さらに、DNA修復と細胞サイズの増大という2つの機能がこれまでに報告されていない細胞機能として同定された。ChIPシークエンスにより、黄体化過程ではゲノム全域にわたってH3K4me3が急激に変化し、遺伝子発現に関与することが示唆された。mRNA発現データとH3K4me3のデータを統合解析したところ、H3K4me3はステロイド産生、排卵、COCの拡大、血管新生、炎症反応、免疫、活性酸素代謝、脂質・糖代謝、オートファジー、細胞サイズの調節などに関与することが示唆された。 (結論)LHサージ後の黄体化過程にあるGCsにおいて、遺伝子発現はゲノムワイドに変化し、細胞機能が劇的に変化する。H3K4me3の変化は、これらの急激な遺伝子発現制御に関与し、種々の細胞機能を調節することでGCsの黄体化に寄与する可能性が示された。
Creators : 白蓋 雄一郎
published_at 2021-11
方法: 2010年10月から2019年9月までに山口大学医学部附属病院および川崎医科大学附属病院で画像検査を受けられた患者を後ろ向きに検討した。炭酸ガス拡張を用いたCTC直後にDCE-CTを実施した82例をCE-CTC群とした。CE-CTC群と同様のDCE-CTプロトコールで撮像されたCTC非併用のDCE-CTの症例のうち、年齢や性別をマッチさせた77例を対照群とした。CE-CTC群は男性48名、女性34名で年齢は21~85歳(平均60歳)、対照群は男性46名、女性31名で年齢は20~84歳(平均60歳)であった。 CTは多列検出器CT装置(Optima CT660 ProまたはLightSpeed Ultra 16、ともにGE社製)を用いて行った。CE-CTC群では、大腸の拡張は自動低圧炭酸ガス送出装置(HP-2®;堀井薬品工業社製)を用いて行った。 胃、肝臓(右葉、左葉)、膵尾部、門脈(PV)、脾静脈(SpV)、上腸間膜静脈(SMV)、下腸間膜静脈(IMV)のCT値を、それぞれ非造影CTと早期CTで測定した。造影CT値として、非造影CT画像とDCE-CT早期相画像のCT値(Hounsfeld unit値)の差を算出した。これらの測定は、2名の放射線科医がワークステーション(EV InsiteS;PSP社製)で各々行い、各臓器、血管の画像上に円形または楕円形の関心領域(ROI)を設定し、2人の測定した造影CT値の平均を算出した。また、肝偽病変の有無を共同で記録した。肝偽病変は、DCE-CT早期相で、肝左葉内側区の後縁または胆嚢窩の周囲にある高または低吸収領域として定義した。 Mann-Whitney U検定を用いて各臓器と血管ごとの造影CT値を比較した。また、カイ二乗検定を用いてCE-CTC群と対照群の間で肝病変の発症頻度を比較した。 結果: CE-CTC群と対照群の各臓器・血管における造影CT値の平均値の比較は表1のとおりで、CECTC群の肝実質(図1)、PV、SMV・IMV(図2)の造影CT値は、対照群に比べて有意に高かった。一方で、CE-CTC群の胃(図3)、膵尾部、SpVの造影CT値は、対照群に比べて有意に低かった。 肝偽病変は、CE-CTC群の6例(7%)において、肝左葉内側区の後縁(n=5)または胆嚢窩周囲(n=1)に低吸収領域として認められた(図4)が、対照群では認められなかった(p=0.016)。表2は、CE-CTC患者で肝偽病変がある場合とない場合の肝臓の造影CT値を比較した結果で、肝偽病変のあるCE-CTC患者の肝の造影CT値は、肝偽病変のないCE-CTC患者の造影CT値よりも有意に高かった。
Creators : 伊原 研一郎
published_at 2022-01
塩化ベンザルコニウム(BAC)は点眼防腐剤として広く用いられている。しかしながら、BACを含む点眼薬の長期使用は結膜下組織の線維化を誘発し、緑内障濾過手術後の濾過胞維持を困難にさせる。また、濾過胞を構成するテノン嚢線維芽細胞と角膜上皮細胞は涙液を介して互いに影響しているが、BAC曝露時のこの細胞間の反応については明らかにされていない。本研究で我々は、共培養システムを用いて、BACにより誘導されたヒトテノン線維芽細胞(HTF)の筋線維芽細胞転化に対するヒト角膜上皮(HCE)細胞の影響について、免疫蛍光染色ならびにウェスタンブロットで評価した。HTFのα-smooth muscle actin(αSMA)発現は、BAC添加により亢進し、HCE細胞との共培養により抑制された。HTFの培養上清中のIL-10濃度は、BACにより減少し、HCE細胞との共培養により増加した。また、BACによるHTFのαSMA発現亢進およびmyocardin-related transcription factor–A(MRTF-A)の核内移行は、IL-10添加によって抑制された。これらのことから、角膜上皮細胞は涙液中のIL-10濃度を維持し、HTFのMRTF-Aの核移行の抑制を介して、BACによる濾過胞線維化を軽減させる可能性が示唆された。
Creators : 山城 知恵美
published_at 2021-12
活性化転写因子1(ATF1)は、CREB/ATFファミリーの転写因子に属し、精巣で高発現している。しかし、精子形成におけるATF1の役割は未だ確立されていない。本研究では、精子形成におけるATF1の影響を解明することを目的として、マウスにおけるATF1の発現パターンとマウス精巣におけるATF1ノックダウンの影響を調べた。その結果、ATF1はさまざまな臓器で発現しており、精巣では非常に高いレベルで発現していることがわかった。免疫染色により、ATF1はspermatogoniaの核に局在し、増殖細胞核抗原(PCNA)と共局在することがわかった。ATF1欠損マウスでは、精巣の精細管にはすべての発生段階の細胞が存在していたが、spermatocyte以降の分化段階の細胞数は減少していた。同様にPCNAの発現が低下していた。一方で、精細管におけるアポトーシス細胞はほとんど見られなかった。これらの結果は、ATF1が男性生殖細胞の増殖と精子の生成に関与していることを示している。また、男性不妊症における乏精子症、無精子症の発症機序解明の可能性を示唆した。
Creators : 田原 正則
published_at 2021-10
前立腺癌細胞と骨芽細胞の相互作用は、前立腺癌骨転移の発生に不可欠である。近年、新規のアンドロゲン受容体標的薬(ARAT)が、転移性去勢未治療前立腺癌(mCNPC)や非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)に対して承認されているが、これらの薬剤と骨微小環境や腫瘍との関係を調べることは極めて重要である。今回、我々は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の骨微小環境を模倣した新規のin vitro 3次元微小環境モデルを確立し、アンドロゲン受容体標的薬の薬剤感受性と、アビラテロンとデュタステリドの併用療法の有効性を評価した。キトサンナノ繊維で表面をコートした細胞培養基材を用いて、GFPを導入したC4-2細胞(CRPC細胞株)とRFPを導入したヒト骨髄由来間葉系幹細胞から分化した骨芽細胞を共培養し、去勢抵抗性前立腺癌の骨微小環境を模倣した。骨芽細胞とC4-2細胞の増殖はCell3 iMager duos(SCREEN)を用いて生細胞のまま解析し、骨芽細胞を維持したまま、最大30日間C4-2細胞の持続的な増殖を観察できた。また、骨芽細胞と共培養したC4-2細胞では、TGF-βの発現が増加し、上皮間葉転換(EMT)が促進されたことから、アンドロゲン受容体標的薬に対する抵抗性が示された。このモデルを用いて、各薬剤のIC50と、アビラテロンとデュタステリドの併用効果を評価した。アビラテロンとデュタステリドの併用療法は、それぞれの単剤投与と比較して、C4-2細胞の増殖を相乗的に抑制し、これは、ARアゴニストである3-keto-5α-abirateroneの減少によるものと考えられた。我々の新規骨微小環境モデルは、前立腺癌の薬剤感受性の評価に有用であり、今後このモデルは、前立腺癌の微小な骨転移から臨床的な骨転移に至るまでの未知のメカニズムの解析に役立つ可能性がある。
Creators : 佐本 征弘
published_at 2022-01
遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:以下HAE)は、全身の様々な部位に突発性、一過性の浮腫を生じる稀な常染色体優性遺伝性疾患である。HAEは、C1 inhibitor(C1INH)をコードするserpin family G member 1(SERPING1)遺伝子の変異により生じるHAEI型およびII型、SERPING1遺伝子以外の遺伝子異常を認めるHAEIII型(HAE with normal C1INH)の3つに分類される。これまでに、SERPING1遺伝子においては多数の病的変異が同定されているが、各変異によるHAEの発症機構については未だ十分に解明されていないのが現状である。 本研究では、以前に我々が報告したHAE I型の患者に同定されたSERPING1遺伝子のミスセンス変異c.449C>T(p.S150F)に関して、詳細な発現・機能解析をin vitroレベルで行った。まず、p.S150F変異型C1INHは細胞内では安定して発現するが、細胞外には全く分泌されないことが示された。次に、変異型C1INHが野生型C1INHの分泌を強力に阻害することが明らかになった。さらなる解析で、野生型C1INHは変異型C1INHとの相互作用によって細胞質内に留め置かれてしまうだけでなく、分解も誘導されることが示唆された。本研究によって、p.S150F変異型C1INHは野生型C1INHに対してdominant-negative効果を発揮することが証明され、それが本遺伝子変異によるHAE I型の主要な発症メカニズムと考えられた。
Creators : 安野 秀一郎
published_at 2021-12
低汗性外胚葉形成不全症 (hypohidrotic ectodermal dysplasia: HED) は、低汗症、乏歯症乏毛症を特徴とする遺伝性疾患である。本疾患の家系のほとんどがX連鎖劣性 (X-linked recessive: XR) の遺伝形式を示すが、稀に常染色体優性 (autosomal dominant: AD) または常染色体劣性 (autosomal recessive: AR) の遺伝形式を示す家系も存在する。XRのHEDはEDA遺伝子の変異で発症し、AD/ARのHEDはEDARまたはEDARADD遺伝子のいずれかの変異で発症する。現在までに、EDAおよびEDARの変異に関してはHEDの発症機序が明らかにされてきたが、EDARADDの変異がどのようにHEDを引き起こすかについての情報は乏しかった。 本研究では、過去にHEDの家系に同定されたEDARADD遺伝子変異のうち、ADの遺伝形式を示すp.D120Y、p.L122R、p.D123Nと、ARの遺伝形式を示すp.E152Kに着目し、培養細胞レベルでさまざまな解析を行った。EDARADDは、シグナル伝達の主要分子であるTRAF6と結合し、最終的に下流のNF-κBを活性化させるが、ADの変異型EDARADDはNF-κBの活性化能を著しく喪失していた。一方で、ARの変異型EDARADDの同活性化能の低下は軽度だった。また、解析した全ての変異型EDARADDは、EDARおよび野生型EDARADDとの親和性を維持していたが、ADの変異型EDARADDは、EDARと野生型EDARADDとの相互作用をdominant negative効果によって阻害することを明らかにした。さらに、ADの変異型EDARADDはTRAF6との結合能を完全に失い、ARの変異EDARADDも野生型に比べてTRAF6との結合能が低下することを示した。 HEDにおける臨床型と遺伝子型の相関関係は未だ明らかではないが、本研究で得られた知見は、EDARADD遺伝子変異とHEDの発症メカニズムの関連性の一端を解明したといえる。
Creators : 浅野 伸幸
published_at 2021-10
【方法】 Wister/STラットに左肺全摘を行うことで気管支断端モデルを作製した。口腔粘膜組織から線維芽細胞を単離し、24wellプレートに5.0×10^5個/wellを播種して72時間培養することで積層線維芽細胞シートを作製した。積層線維芽細胞シートの移植による気管支断端の補強効果を検討するため、術後7、14、28日目に標本を摘出し、細胞シート移植の有無による2群間での気管支断端の変化を肉眼的、組織学的、力学的に比較した。 また、細胞シートによる組織修復のメカニズムを検証するために、創傷治癒に関わる成長因子、サイトカインを細胞シート作製時の培養液上清を用いたEnzyme-linked immunosorbent assay (ELIZA)法でin vitroに測定した。更に、Green fluorescent protein (GFP)遺伝子を導入した線維芽細胞で作製した細胞シートを移植し、移植した細胞の残存性を検証した。 【結果】 作製した積層線維芽細胞シートは直径6mmであった。線維芽細胞が4-5層に積層し、コラーゲン線維を含む細胞外マトリックスを保持した状態で回収された。 非移植群では、術後7、14、28日目のいずれのタイミングでも、気管支断端の閉鎖に用いた縫合糸が露出していた。一方で、移植群の気管支断端は新生組織で広く被覆されていた。なお、細胞シートの移植の有無に関わらず、標本摘出までの期間に気管支断端瘻が生じた個体はなかった。摘出した標本を組織学的に観察すると、非移植群の気管支断端周囲にはごく僅かな結合組織が形成されたのみであったが、移植群では気管支断端周囲に多量の結合組織が形成されていた。また、移植群に生じた気管支断端周囲の結合組織が徐々に成熟すること(Azan染色)、その組織に多くの血管構造が含まれていること(抗CD31抗体による免疫染色)が観察された。新生組織を含む気管支壁の厚み、それに含まれる血管構造を定量化したところ、いずれのタイミングでも移植群の気管支壁が有意に厚く、より多くの血管構造を含んでいた。また、気管支断端の補強効果を力学的に検証するために、気管支断端の耐圧能を評価したところ、非移植群では全ての標本で気管支断端からエアリークが生じた。一方、移植群では300mmHgまでの加圧によってエアリークが生じた標本はなく、その耐圧値は移植群で有意に高かった。 細胞シート作製時の培養液上清を用いたELIZA法では、VEGF、Hepatocyte growth factor (HGF)、C-X-C motif chemokine ligand 1 (CXCL1)、Angiopoietine-2、Monocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1)、Transforming growth factor beta 1 (TGF-β)が細胞シートから分泌されていることが示された。 GFP遺伝子導入積層線維芽細胞シートを移植したところ、術後3日目の時点ではGFP遺伝子導入線維芽細胞が気管支断端に残存していることが確認されたが、7、14 日目にはGFP遺伝子が発現した細胞は確認されなかった。 【考察】 気管支断端は僅かに新生された結合組織でのみ覆われることが報告されており、本研究においても、非移植群の気管支断端の周囲には僅かな結合組織が形成されたのみであった。一方、積層線維芽細胞シートを移植することにより、気管支断端の周囲に多くの血管構造を含んだ結合組織が形成され、力学的にも気管支断端の強度が増していることが示された。気管支断端瘻は、術後1週間から3ヶ月、特に10日目前後に多く発生するとされていることから、細胞シートの移植後7日目の時点で、気管支壁がより厚く、血管構造に富み、優れた耐圧性を獲得していることは、気管支断端瘻の予防にとって十分に効果的な可能性がある。 積層線維芽細胞シートにより気管支断端が補強される機序を解明するため、細胞シートが分泌する成長因子やサイトカインの測定、GFP遺伝子導入細胞シートを用いた検証を行ったが、移植したGFP遺伝子導入細胞は術後3日目には残存していたが、7日目の時点では確認できなかった。このことは、移植した線維芽細胞が生存、増殖して結合組織を形成するのではなく、細胞シートの移植が宿主の組織治癒を促進させている可能性を示している。VEGF、HGFやTGF-βなどの成長因子、サイトカインが細胞シートから分泌され、これらに宿主に働きかけることで、気管支断端周囲での組織形成や血管新生が促進されたと推察される。 積層線維芽細胞シートの移植後7日目の時点で、気管支断端周囲に血管新生を伴った結合組織が形成され、力学的な補強効果があることが示された。積層線維芽細胞シートの移植は、局所の血流低下による組織治癒遅延が原因とされる気管支断端瘻に対して有効な予防法となる可能性がある。 【結語】 積層線維芽細胞シートの移植による気管支断端の補強効果が示された。本法は、気管支断端瘻の有効な予防法となる可能性がある。
Creators : 吉峯 宗大
published_at 2022-02
Creators : 鹿 安冉
published_at 2021-11
術後膵液瘻は膵臓手術後の重篤な合併症である。これまで多くの予防法が検討されたが、充分な効果は得られておらず、発症率は減少していない。我々の研究室では長年、難治性皮膚潰瘍に対する細胞シート移植を研究し、有効な創傷治癒効果を報告してきた。細胞シート移植は他臓器の創傷治癒にも有効である可能性が予想され、膵液瘻に対する予防法になりうると着想した。本研究では動物の術後膵液瘻モデルを用いて、積層繊維芽シートの自家移植による膵液瘻の予防を検証した。 ラットを全身麻酔下に開腹し、膵管とその周囲の膵組織を切開してラット膵液瘻モデルを作製した。ラット尾より線維芽細胞を単離し、培養して積層繊維芽シートを作製した。自家積層線維芽細胞シートを膵管とその周囲の膵組織切開部に移植し、細胞シート移植による膵液瘻の予防効果を経時的な腹水及び血清中膵酵素値の測定、膵組織の免疫組織化学、定量的PCR法を用いて評価した。 ラット膵液瘻モデルでは術後に腹水中膵酵素値が上昇し、病理組織学的には広範囲の膵組織に炎症と壊死所見を認めた。膵液瘻の発症と膵組織の損傷が示唆された。積層線維芽細胞シートの自家移植により腹水中膵酵素の上昇と膵組織の炎症性変化は有意に抑制され、正常な構造を保つ膵組織が広範囲に温存された。対照群である細胞活性を持たないシートを移植した群と比較して、細胞シート移植群では切開部周辺に線維化と血管新生が惹起されていた。特に切開部付近の膵管はコラーゲン線維で充填、被覆されており、膵液の漏出を抑制する上で重要な機序であったと示唆された。これら線維化と血管新生を介して膵臓への障害が抑制されたと考えられた。 以上から、動物モデルにおいて積層線維芽細胞シートの自家移植は膵液瘻を充分に予防し、膵組織を保護することが示された。上記細胞シートの自家移植は術後膵液瘻を予防する有効な方法となり得ることが示唆された。
Creators : 岩本 圭亮
published_at 2021-02
脳由来神経栄養因子Brain-derived neurotrophic factor (BDNF)は, 中枢神経内での恒常性や神経発達に重要な役割を果たしており, 神経変性疾患や神経免疫疾患の治療薬への応用が期待されている. しかし, BDNF自体は分子量が大きく, 末梢に投与したBDNFは血液脳関門Blood-brain barrier (BBB)を通過して中枢神経内に作用することができない. 一方で脂溶性化合物はBBBを通過しやすいとされている. そこで, BBBを超えてアストロサイトに作用し, アストロサイトからBDNF分泌を促進する脂溶性化合物の同定を試みた. 温度条件不死化ヒト脳血管内皮細胞 (EC), ペリサイト (PCT), アストロサイト (AST)のBBB in vitroモデルに20種類の脂溶性化合物を反応させ, 48時間後にBDNFの分泌量をELISAで測定した. 脂溶性化合物をEC/AST co-cultureに72時間反応させながら電気抵抗値を測定した. その結果, prostaglandin E2 receptor 4 agonist (EP4) とsphingosinesphingosine-1-phosphate receptor 5 agonist (S1P5)がEC, PCTの有無にかかわらずASTからのBDNFを有意に促進させ, 電気抵抗値の低下は伴わなかった. このことからEP4とS1P5はBBBへ影響を与えずにASTからのBDNF分泌を促進したと考えられた. S1P5は進行型多発性硬化症治療薬であるシポニモドの標的の1つである. シポニモドの神経保護作用はS1P5を介したASTからのBDNFが関与している可能性が考えられた. ASTでのEP4の機能は未だ不明な点が多いが, BDNF分泌を促進することで神経保護に関与する可能性がある. いずれの化合物も治療薬への発展が期待される.
Creators : 藤澤 美和子
published_at 2021-08
背景と目的:同種造血幹細胞移植ではgraft-versus-leukemia (GVL) 効果と呼ばれる抗腫瘍免疫を適切に誘導することが成績向上の鍵となる。しかしGVL効果の増強は移植片対宿主病の重症化にも繋がるため、 同種免疫応答の指標となるバイオマーカーの開発が望まれる。我々は以前、移植処置の前と好中球生着時の血清可溶性インターロイキン-2受容体の比である「sIL-2R index」を定義し、骨髄移植における移植片対宿主病の発症予測マーカーとして有用であることを示した。しかし、骨髄移植とは異なる免疫特性を有する臍帯血移植ではsIL-2R indexも異なる挙動を示す可能性があり、臍帯血移植におけるsIL-2R indexの有用性を検討した。 対象と方法:当院で初回同種造血幹細胞移植として臍帯血を施行した31症例を対象とした。sIL-2R indexを算出し、患者背景や移植成績との関連を後方視的に解析した。 結果:移植後3年の再発率は、sIL-2R index 3.7以上の群で有意に低下した(12.8% vs 50.0%; p = 0.04)。それに伴い移植後3年の全生存率はsIL-2R index 3.7以上の群で有意に良好であった(79.8% vs 20.0%; p < 0.01)。sIL-2R indexには移植後1日目から好中球生着日までの累積ステロイド投与量が影響しており、ステロイドの使用理由は生着前免疫反応に対する治療であった。なお骨髄移植とは異なり、臍帯血移植ではsIL-2R indexと急性移植片対宿主病の発症率との有意な関連性は認めなかった。 結語:sIL-2R indexは臍帯血移植後の予後予測マーカーになり得る。sIL-2R indexはGVL効果を反映する可能性があるが、更なる検証が必要である。
Creators : 梶邑 泰子
published_at 2022-01
心臓突然死(sudden cardiac death: SCD)は心サルコイドーシス患者における主要な死亡原因であり、SCDの大部分は心室性不整脈が原因である。これまでのところ、心サルコイドーシス患者の致死的不整脈とSCDを予測するバイオマーカーは報告されていない。本研究では心サルコイドーシス患者における持続性心室頻拍(sustained ventricular tachycardia: sVT)およびSCDを予測する因子は何であるかを調査した。連続89症例において心サルコイドーシス患者の炎症活動性を反映する酸化的DNA損傷のマーカーである尿中8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(尿中8-OHdG)、他のバイオマーカー、心機能の指標、腎機能を測定した。追跡期間中、15人の患者はsVT(N = 12)またはSCD(N= 3)を示した。COX比例ハザードモデルを用いた多変量解析では、尿中8-OHdG濃度および心室瘤(ventricular aneurysm: VA)の存在がsVT/SCDの独立した予測因子であることが示された。尿中8-OHdGおよびVAの存在は、心サルコイドーシス患者の初回のsVT/SCDの強力な予測因子であり、心臓イベントのリスクの層別化に有用である。さらに、これらはVT基質についてのさらなる情報を与えるものであることが示唆された。
Creators : 吉冨 亮介
published_at 2021-11
中等度の冠動脈狭窄病変において、血行再建治療を延期(defer)し薬物療法を行った場合、薬物療法中に心血管イベント発症抑制効果を評価する代用評価法があれば有用である。冠動脈イメージングでプラーク退縮と安定化を調べることで薬物治療効果を評価するのと同様に、定量的冠血流比(QFR)の経時的変化は、deferした中等度狭窄に対する薬物治療効果を評価する代用評価法として有用な可能性がある。本研究では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後に未治療血管に冠動脈中等度残存狭窄を有し二次予防として薬物治療を受けた患者で、deferした中等度残存狭窄のQFRの経時的変化を調査した。山口大学医学部附属病院と萩市民病院でPCIを施行され、PCI(ベースライン[BL])時に未治療血管に中程度狭窄を有し、6~18ヶ月後にフォローアップ(FU)の冠動脈造影が施行された患者を対象とした。52人の患者でBLとFUの両方で未治療血管の中程度狭窄のQFRの解析が可能であった。BL時にQFRの中央値は0.83(IQR, 0.69, 0.89)、FU時にQFRの中央値は0.80(IQR, 0.70, 0.86)であった。QFRの増加した患者(QFR増加群)は21人で、QFRの減少した患者(QFR減少群)は31人であった。経時的なQFR変化の中央値はQFR増加群で0.05(IQR, 0.03, 0.09)、QFR減少群で-0.05(IQR, -0.07, -0.03)であった。単変量および多変量解析でQFRの増加に影響する因子を解析したところ、FU時のLDLコレステロール値と相関を認めた(OR 0.95, 95% CI [0.91, 0.98], p=0.001)。QFRの経時的変化の評価は、deferした中程度狭窄を有する患者に対する薬物治療効果を判定する代用評価法として有用性が示唆された。
Creators : 竹中 仁
published_at 2021-12
背景:顕微鏡的多発血管炎 (MPA) は全身臓器が障害される疾患である。しかしながら、MPA患者における心臓超音波検査(心エコー図検査)における指標の特徴については不明な点が多い。 目的:本研究は、単施設後ろ向き研究で、ステロイド療法の新規導入または再導入後2週間以内に心エコーを行ったMPA患者15名を対象とし、その心エコー所見の特徴について検討することを研究の目的とした。30人の年齢・性別をマッチさせた心疾患のないコントロール群と比較検討した。 方法と結果:左室径、左室駆出率、拡張早期僧帽弁輪最大移動速度 (e’) に2群間で有意差は認めなかった。一方、MPA群では左房径、左房容積係数が有意に高く、左室流入血流速波形 (TMF) の早期拡張期充満速度(E波)と肺静脈流入拡張期血流速度 (D波) の高さ、三尖弁における収縮期右室-右房最大圧較差も有意に高く、TMFのE波の減速時間 (DCT) は短縮していた。血清CRPはTMFのE波高、E/A比およびDCTと相関が見られた。今回の研究では、MPA患者におけるe’の有意な低下がみられなかったことから、左室弛緩能の低下よりはむしろ左室スティフネスの上昇によって左室拡張機能低下が生じ、結果として左房拡大が生じている可能性が示唆された。 結語:急性期MPA患者では左室拡張機能低下によると考えられる左房拡大を生じていた。MPA患者、特に強い炎症反応を伴う患者では、心機能評価を行うことが重要であることが示唆された。
Creators : 木下 奈津
published_at 2021-12
【背景】全層性治癒(Transmural healing healing; TH)は、クローン病の新たな治療標的として注目されているが、日本ではTHに関する臨床データはほとんどない。我々は、クローン病のモニタリング法として低被曝線量CTエンテログラフィ(CTE)を導入し、CTEによるTHの評価をレトロスペクティブに検討した。【方法】2009年 1月から2021年3月までに当院で低被曝線量CTEを施行したクローン病患者のうち、2週間以内に大腸内視鏡検査またはバルーン内視鏡検査を施行した122例を対象とした。放射線検査と内視鏡検査の結果は、それぞれ放射線科医と消化器内視鏡医が独立して検討した。CTEと内視鏡検査の診断の一致率を算出した。【結果】26名(21.3%)のクローン病患者がTHを達成し、カッパ係数は0.743と2人の放射線科医の間でかなりの一致が見られた。TH群と非TH群の比較では、クローン病活動指数(Crohn’s Disease Activity Index ; CDAI )(P値 = 0.02)、内視鏡的治癒率(P値 < 0.001)、血清アルブミン(P値 = 0.043)、血清C反応性蛋白(P値 = 0.018)に有意差が認められた。122名の患者のうち、69名(56.5%)はCTEの診断と内視鏡検査が一致し、22名(18.0%)はTHと内視鏡の両方の治癒を達成した。【結論】本研究は、日本における低被曝線量CTEによるクローン病のリアルワードデータを示すものである。本研究で用いたTHの基準はカッパ係数が高く、多くの施設で再現性を持って用いることができると考えられる。
Creators : 藤村 寛之
published_at 2022-01
【背景】近年、歯周炎や歯肉炎に関連する嫌気性グラム桿菌であるFusobacterium nucleatum (F. nucleatum) は大腸がんの発生や進行に関与することが報告されている。この菌の制御が大腸がんの予防につながる可能性があると考え、深紫外線発光ダイオード (DUV-LED) によるF. nucleatumの殺菌効果を検討した。【方法】DUV-LEDのF. nucleatumに対する殺菌効果を定性的、定量的に評価した。ピーク波長が265nmと280nmの2種類のDUV-LEDを使用した。F. nucleatumのDNAに対するダメージは、シクロブタンピリミジン二量体(CPD)とピリミジンピリミドン光生成物 (6-4PP) の生成で評価した。【結果】DUV-LEDでの265nmまたは280nmの波長を3分間照射したところ、コロニーの成長は観察されなかった。265nmのDUV-LED光照射下におけるF. nucleatumの生存率は10秒照射で0.0014%、20秒照射で0%に低下した。同様に、280nmのDUV-LED光照射では,10秒照射で0.00044%、20秒照射で0%に低下した。DUV-LEDから35mmの距離での放射照度は、265nmのLEDで0.265mW/cm^2、280nmのLEDでは0.415mW/cm^2であった。従って、致死量を示す放射エネルギーは265nm LEDは5.3mJ/cm^2、280nm LEDは8.3mJ/cm^2であった。265nmと280nmのDUV-LED光をF. nucleatumに照射した際のCPDと6-4PPの量はそれぞれ6.548ng/μg、1.333ng/μgであった。【結論】DUV-LED光は、F. nucleatumに対して、ピリミジン二量体を形成することにより殺菌効果を発揮した。
Creators : 伊藤 駿介
published_at 2022-01
前身に投与された治療薬が脳組織実質に到達するには、神経組織の血管により形成される血液脳関門を通過する必要がある。そのため、組織への損傷を最小限に抑えて血液脳関門を開くことができれば、難治性神経疾患の治療法開発に大きな進展をもたらすことが期待される。本研究では、血液脳関門を形成する血管内皮細胞に発現するBasiginに着目し、その内因性リガンドであるCyclophilin A (CypA) を用いて、血液脳関門機能を人為的に制御することを目的とした。マウス脳血管内皮細胞株を用いたin vivo解析により、CypAの投与がBasiginを介して血液脳関門機能を低下させること、それにより脳実質へ効率的に薬物を送達できることを示した。単層培養された血管内皮細胞において、CypAはタイト結合構成分子の一つであるClaudin-5を一過性かつ可逆的に細胞膜から消失させて、バリアー機能を低下させることを見出した。また、マウスへのCypAの単回静脈内投与では血液脳関門が一定期間開いた後、自発的に元の状態へ回復することが示され、そしてその限定された機関において、全身投与された水溶性薬物Doxorubicinが脳組織実質へ送達されることが明らかとなった。本研究の結果は、CypAの静脈内投与によって、脳実質への薬物送達を自在にコントロールできることを示しており、難治性神経疾患に対する治療法確立に向けた重要な成果であると考えられる。
Creators : 本田 成美
published_at 2022
The hippocampal dentate gyrus has been identified to play a critical role in maintaining contextual memory in many mammalian species. To evaluate learning-induced synaptic plasticity of granule cells, we subjected male rats to an inhibitory avoidance (IA) task and prepared acute hippocampal slices. In the presence of 0.5 µM tetrodotoxin, we recorded miniature EPSCs in male rats experiencing four groups: untrained, IA-trained, unpaired, and walk-through. Compared with the untrained, IA-trained, unpaired, and walk-through groups, the unpaired group significantly enhanced mean mEPSC amplitudes, suggesting the experience-induced plasticity at AMPA receptor-mediated excitatory synapses. For inhibitory synapses, both unpaired and walk-through groups significantly decreased mean mIPSC amplitudes, showing the experience-induced reduction of postsynaptic GABA_A receptor-mediated currents. Unlike the plasticity at CA1 synapses, it was difficult to explain the learning-specific plasticity at the synapses. However, overall multivariate analysis using four variables of mE(I)PSC responses revealed experience-specific changes in the diversity, suggesting that the diversity of excitatory/inhibitory synapses onto granule cells differs among the past experience of animals include the learning. In comparison with CA1 pyramidal neurons, granule cells consistently showed greater amplitude and frequency of mE(I)PSCs. Fluctuation analysis further revealed that granule cells provide more postsynaptic AMPA receptor channels and greater single-channel current of GABA_A receptors of than CA1 pyramidal neurons. These findings show functional differences between two types of principal cells in the hippocampus.
Creators : Han Thiri Zin
published_at 2022-01
Cardiovascular diseases are the leading cause of mortality and disability worldwide. We have previously found that sphingosylphorsphorylcholine (SPC) is the key molecule leading to vasospasm. We have also identified the SPC/Src family protein tyrosine kinase Fyn/Rho-kinase (ROK) pathway as a novel signaling pathway for Ca^{2+}-sensitization of vascular smooth muscle (VSM) contraction. The present study aimed to investigate whether hesperetin can inhibit the SPC-induced contraction with little effect on 40 mM K^+-induced Ca^{2+}-dependent contraction and to elucidate the underlying mechanisms. Hesperetin significantly inhibited the SPC-induced contraction of porcine coronary artery smooth muscle strips with little effect on 40 mM K^+-induced contraction. Hesperetin blocked the SPC-induced translocation of Fyn and ROK from the cytosol to the membrane in human coronary artery smooth muscle cells (HCASMCs). SPC decreased the phosphorylation level of Fyn at Y531 in both VSMs and HCASMCs and increased the phosphorylation levels of Fyn at Y420, myosin phosphatase target subunit 1 (MYPT1) at T853 and myosin light chain (MLC) at S19 in both VSMs and HCASMCs, which were significantly suppressed by hesperetin. Our results indicate that hesperetin inhibits the SPC-induced contraction at least in part by suppressing the Fyn/ROK pathway, suggesting that hesperetin can be novel drug to prevent and treat vasospasm.
Creators : Lu Qian
published_at 2022-03
 本研究では、小児期(幼児期、学童期、青年期)の生活習慣、遺伝要因と肥満との関連を調査し、肥満予防のための公衆衛生的アプローチを検討した。食物繊維摂取が学童期の子どもの肥満および血圧、血中脂質パラメーターに及ぼす影響を明らかにすること(調査1:10~11歳の横断研究)、FT0遺伝子多型が幼児期から青年期の体格変化に及ぼす影響を明らかにすること(調査2:3歳、10歳、13歳に渡る縦断研究)、さらに、学童期から青年期にかけて身体活動がFT0遺伝子多型と体格変化に及ぼす影響を明らかにすること(調査3:13歳、18歳に渡る縦断研究)、を本研究の目的とした。  調査1では、学童期の食物繊維摂取は肥満およびコレステロール高値のリスク低減に有効であることが示唆された。  調査2では、幼児期から学童期にかけてFT0遺伝子の影響が強く表れ、中学生の年代になるとこの影響は逆に減弱し、部活動等が始まるこの時期の身体活動の影響が関連している可能性があることが推測された。  調査3では、青年期で、身体活動量が多いほどBMIの増加を弱め、FT0遺伝子多型の影響を減弱させた。  本論文の構成は5章からなる。 第1章では、緒言として、研究の背景と本研究の目的を述べる。 第2章では、食物繊維摂取が学童期の子どもの肥満および血圧、血中脂質パラメーターに及ぼす影響を検討した。 第3章では、FT0遺伝子多型が幼児期から青年期の体格変化に及ぼす影響を検討した。 第4章では、身体活動がFT0遺伝子多型と体格変化に及ぼす影響について検討した。 第5章では、結言として、本研究のまとめと今後の研究の方向性、今後の展望を述べた。
Creators : 木村 圭子
published_at 2022-03
With the deterioration of bridges as social infrastructure, appropriate maintenance and life extension are required. However, aging degradation of individual bridges is not the same. Since traffic volume and bridge environment are different for each bridge, the degree of deterioration of the bridge is also different. Therefore, it is necessary to identify and eliminate the cause of individual deterioration and to take appropriate measures. This paper focuses on weathering steel bridge that the formation of dense rust is greatly influenced by the environment. The purpose of this study is to clarify the effect of anticorrosion by the environmental improvement which covers the whole steel girder with the metal sandwich panel for weathering steel bridge. Since the space in the girder covered with the metal sandwich panel cannot be expected to have the effect of washing by rainwater or drying and wetting by the flow of wind, the adoption of the metal sandwich panel for weatherproof steel bridge has not been judged until now. In this thesis, the corrosion behavior of weathering steel and the effectiveness of corrosion protection are shown by exposure test, and the corrosion protection effect of environmental improvement by metal sandwich panel is clarified. In addition, this study examines the economical advantages by the metal sandwich panel installation by calculating the life cycle cost. This paper consists of six chapters. Chapter 1 describes the background and purpose of this research. Chapter 2 summarizes previous studies on corrosion protection methods used in steel bridges. In Chapter 3, exposure tests were conducted inside and outside the metal sandwich panel and the following finding were obtained. 1) In the girder covered with the metal sandwich panel, fluctuation range of temperature and humidity is small throughout the year, and it does not follow the sudden weather change of outside of the panel. Since the difference between the temperature and dew point in the panel is large, the wet time in the panel is suppressed to 1/5 or less of the wet time of outside the panel. 2) At the structure which has thin floor slab and low height girder, the temperature rise in the panel may be unavoidable depending on season. However, since the humidity in the panel is low and the wet time is also greatly reduced, the anticorrosive effect can be expected in the steel bridge including the weathering steel bridge. 3) Amount of air born salt into the panel after the metal sandwich panel installation was not detected. In Chapter 4, a small test specimen was placed in the inside space of the steel girder, and the transition of corrosion, anticorrosion effect by environmental improvement and inner surface painting were examined. 1) The untreated steel and the uncoated steel in the ingrown rust region evaluated by the ion permeation resistance method are kept almost same condition after five years. 2) It is also conceivable that the initial salinity of the steel material subjected to the substrate adjustment by blasting exists even after the substrate adjustment, and that the adhering salinity penetrates into the inside of the steel plate at the time of rust formation. However, the increase rate of rust thickness due to aging is slow, and a method of installing a metal sandwich panel after blasting is also effective. 3) Although the effect of environmental isolation from outside the girder was confirmed, it became clear that it was difficult to completely suppress the progress of rust. Chapter 5 examined the economic effects of installing metal sandwich panels on new girders from the beginning and installing them on overbridges 50 years after the star of service. 1) If repainting is required even 1 time during the during the design service period of 100 years, the anticorrosion method by environmental improvement of the metal sandwich panel is economically superior. 2) Accumulating the cost of close visual inspection (for 50 years) of the overbridge that has been in service for 50 years increases the maintenance cost. Chapter 6 summarizes this research and describes future issues.
Creators : Tachibana Shuusaku
published_at 2021-10
ダイアモンド・ブラックファン貧血 (Diamond–Blackfan anemia : DBA) は, リボゾーム蛋白異常によって生じる赤芽球癆で, 新生児期の貧血および一部で身体奇形を合併する. 臨床的特徴が多様で, 原因となるリボゾーム蛋白遺伝子も多数存在するため, 新生児期にDBAと確定診断し, 適切な治療を行うことが困難である. 本研究では, 全エクソーム解析 (whole-exome sequencing; WES) を用いて最終診断した3組の母子例について報告する. 貧血の重症度や治療反応性は各母子間で異なり, 低身長, 翼状頸, 母指球形成不全などの特徴的な身体奇形を認めた症例は, 母1名のみだった. この母はRPL11 (exon 2, c.58_59del) のフレームシフト変異があり, 子は一過性の新生児貧血を認めたがリボゾーム蛋白遺伝子の変異はなかった. 他の2組の母子では, それぞれRPS19 (exon 4, c.185G>A) のミスセンス変異とRPS7のスプライシング変異 (exon 3, c.76-1G>T) を同定した. それぞれの変異と別に, 貧血を来し得る遺伝子変異はなかった. 本研究は, WESがヒトリボゾーム病の迅速かつ正確な診断を得るために有用であることを示唆した.
Creators : 市村 卓也
published_at 2021-09
Creators : Do Thi Van
published_at 2021
Creators : Aya Takahiro
published_at 2021-09
Creators : Tsuchida Katsuhiko
published_at 2021
Creators : 松本 奈実