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Dry preserved multilayered fibroblast cell sheets are a new manageable tool for regenerative medicine to promote wound healing

DT11101664_Abstract.pdf
[abstract] 2.72 MB
DT11101664_FullText.pdf
[fulltext] 18.5 MB
Title
乾燥積層線維芽細胞シートは創傷治癒を促す再生医療において新たな扱いやすい被覆材である
Dry preserved multilayered fibroblast cell sheets are a new manageable tool for regenerative medicine to promote wound healing
Degree 博士(医学) Dissertation Number 医博甲第1664号 (2023-03-16)
Degree Grantors Yamaguchi University
[kakenhi]15501 grid.268397.1
Abstract
細胞シート移植治療の普及には利便性の高い細胞シートの保存方法の開発が不可欠である。細胞シートから分泌される成長因子によって創傷治癒は促進されると考えられてきたため、その保存には細胞生存率が重要視されてきた。そのため、積層線維芽細胞シートの乾燥保存に関する検討はこれまでにない。本研究では、乾燥保存した積層線維芽細胞シート(Dryシート)を開発し、糖尿病マウス全層皮膚欠損モデルでの創傷治癒促進効果を検証した。
マウスの尾から単離した線維芽細胞を用いて、積層線維芽細胞シート(Livingシート)を作製した。Livingシートを風乾させ、Dryシートとした。Livingシートに凍結解凍操作を繰り返してFreeze-thaw(FT)シートとした。各シートを培地に浸漬して溶出液とし、各溶出液中の成長因子を測定した。Vascular endothelial growth factor(VEGF)とhepatocyte growth factor(HGF)はDryシートとLivingシートで検出したのに対し、fibroblast growth factor-2(FGF-2)とhigh mobility group box 1(HMGB1)はDryシートのみで検出した。FTシートではこれらの成長因子をほとんど検出しなかった。細胞シートの溶出液を添加して線維芽細胞を培養し、溶出液の生理活性を線維芽細胞増殖試験で検討した。DryシートはLivingシートと比べ、細胞増殖と成長因子産生量を有意に促進し、FGF-2中和抗体で阻害すると、この細胞増殖反応は抑制された。糖尿病マウス全層皮膚欠損モデル(C57BL/6N)において、自家及び他家(C3H/He)の線維芽細胞から作製したDryシート貼付群は無治療群に比べ、創の閉鎖を有意に促進した。Dryシートは常温(23℃)よりも冷蔵(4℃)での保存安定性に優れ、少なくとも4週間の冷蔵保存ではDryシートのFGF-2の減少を認めなかった。
以上から、DryシートはFGF-2の放出という新たな作用機序で創傷治癒を促進することが明らかになった。他家細胞から作製されたDryシートは、創傷治癒を促す再生医療において新たな扱いやすい被覆材であることが示唆された。
Creators 松野 祐太朗
Languages jpn
Resource Type doctoral thesis
File Version Version of Record
Access Rights open access