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Personal Distance and Interaction to Others

Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 39 Page 27-36
published_at 1990-01
Title
対人相互作用水準と対人距離の関係
Personal Distance and Interaction to Others
Creators Kumagai Nobuyori
Source Identifiers
この研究は、人が他者と相互作用を行うときにとる他者との距離は、相手との親しさの水準、及び相互作用の水準によって定まることを明らかにしようとする。人間に限らず、多くの動物においては他の種あるいは同一種内において他の個体との間に適切な空間距離を確保する性質があることが確認されている。動物において個体間の空間をあけること(spaceing)は、個体の安全と種の保存のために重要な働きをしている。人間の空間行動について、Hall(1966)は種々の感覚レベルによる相互作用の観点から4つの距離相を分類した。それぞれはさらに近接相と遠方相に分けられる。それらは次のようなものである。 1密接距離(intimate distance):相手からの感覚的人力がきわめて強く、相手と身体的に密接しているという感覚が強い。 近接相:身体的接触もしくは身体的関与の可能性が大である。愛撫、格闘、慰め、保護の距離。 遠方相(6-18in.):手で相手の体に触れることができる。 2個体距離(personal distance):相手と自分とが分離され、自分を小さな防御領域に保つ。 近接相(1.5-2.5ft.):部分的には自分の手足で相手に何かを仕掛けることができる。 遠方相(2.5-4ft.):自分と相手の双方が腕を延ばせば触れあうことができる。真の意味での身体的支配の限界である。 3社会距離(social distance):相互に直接的な支配の限界である。 近接相(4-7ft.):相手に触れようとすると特別な努力を要する。個人的ではない用件はこの距離で行われる。 遠方相(7-12ft.):形式ばった社交上の対話などが行われる。 4公衆距離(public distance):個人的な関与の十分外側になる。 近接相(12-25ft.):相手から脅されたときに逃げるか防ぐことができる。痕跡的な、しかも無意識的な逃走反応にきっかけを与えることがある。 遠方相(25ft.-):相手との人間的な接触は失われる。言葉は演説口調になり、言葉によらないコミュニケーションの大部分は身振りや姿勢に移ってくる。すなわち、このような対人距離は自己と他者との相互作用レベルと関係があり、他者との間に適当な距離をとることによって自己を安全な状態に保とうとしていると考えられる。ここで自己の安全の確保は、単に身体的な安全のみならず、心理的な安全も含み、これは従来から自我の防衛であると考えられてきた。ここに自我は個人の身体の内側にとどまるものではなく、身体を中心に空間的な広がりをもったものとする考え方が出てくる。これは「個人空間(personal space)」と呼ばれてきた。
Subjects
全般 ( Other)
Languages jpn
Resource Type departmental bulletin paper
Publishers 山口大学教育学部
Date Issued 1990-01
File Version Not Applicable (or Unknown)
Access Rights metadata only access
Relations
[ISSN]0286-0597
[NCID]AN00240238
Schools 教育学部