コンテンツメニュー

ヒト骨髄単核球の播種密度の最適化による高品質な間葉系幹細胞培養法の確立

DT11101675_Abstract.pdf
[abstract] 2.76 MB
DT11101675_FullText.pdf
[fulltext] 3.19 MB
Title
ヒト骨髄単核球の播種密度の最適化による高品質な間葉系幹細胞培養法の確立
Degree 博士(保健学) Dissertation Number 医博甲第1675号 (2023-03-16)
Degree Grantors Yamaguchi University
[kakenhi]15501 grid.268397.1
Abstract
間葉系幹細胞(MSC)は、再生医療において有用な細胞である。MSCの培養工程の初期に、組織から抽出した単核球を培養容器に播種し、MSCの単離を行う。単離工程において、単核球の播種密度を最適化することで、単離後のMSCの収量や分化能が向上することが報告されている。しかし、単核球の播種密度がMSCの品質に影響する機構は明らかになっていない。
我々はその機構を明らかにする為、ヒト骨髄単核球を様々な播種密度(4.0×104、1.25×105、2.5×105、6.3×105、1.25×106cells/cm2)で培養し、単核球の播種密度とMSCのコロニー形成過程との関係を解析した。播種密度が高い条件(6.3×105、1.25×106cells/cm2)では、培養容器に接着したMSC同士の距離が小さく、互いの増殖スペースが制限される為、早期に高密度に達した。一方、低い播種密度(4.0×104、1.25×105 cells/cm2)では、MSCは単一細胞由来のコロニーを形成し、コロニーの直径や密度は様々な形態を示した。コロニーを継時観察したところ、高い増殖能力を持つMSCは、培養時間の経過に伴い、全体におけるその割合が増加した。それに対して、増殖能力が低いMSCは肥大化し、老化が進行した。老化細胞は剥離処理の時間を調整することで除去できることを見出した。単核球の播種密度が低い条件で、上記機構により、増殖能が高いMSCの純度が向上することが明らかになった。この機構をもとに単離工程のパラメータを最適化し、得られたMSCの増殖能と分化能を評価した。単核球の播種密度が高い条件(1.25×106cells/cm2)と比較し、最適化した条件(播種密度:1.25×105cells/cm2)から得られたMSCは、高い増殖能を示し、骨以外の脂肪や軟骨への分化能が有意に上昇した。
本研究により、高品質なMSCの純度を向上させる方法として、(1)単一細胞由来のコロニーを形成させる為に単核球の播種密度を最適化すること、(2)高い増殖能を持つMSCの割合を増やす為に培養期間を調整すること、(3)老化細胞を除去できる剥離処理の時間を設定することを提案する。
Creators 永井 寛之
Languages jpn
Resource Type doctoral thesis
File Version Version of Record
Access Rights open access