Artificial intelligence in respiratory medicine
Title
呼吸器診療を支援する医療AI技術の開発
Artificial intelligence in respiratory medicine
Degree
博士(医学)
Dissertation Number
医博甲第1678号
(2023-09-26)
Degree Grantors
Yamaguchi University
[kakenhi]15501
grid.268397.1
Abstract
現在の日本は少子高齢化・医療高度化を背景に、要介護者数の増加、医療費増加、人材不足、医療格差などの医療課題に直面している。近年、人工知能(ArtificialintelligenceAI)技術やシステム医学に基づいたデータ駆動型医療の登場によって、これら課題を解決できる可能性が広がった。筆者自身は呼吸器診療に携わる立場でもあることから、呼吸器診療を支援する以下3つの医療AI技術を開発した。1つ目の技術では、副作用ビッグデータ(JapaneseAdverseDrugEventReportJADER)に基づきベイズ推定を行うことで、AUC0.93の精度で副作用の原因薬を推定できた。呼吸器領域では薬剤性肺障害など重篤な副作用があるが、本技術の臨床応用によって、副作用による健康被害の最小化と副作用管理の効率化が期待できる。2つ目の技術では、喘息患者の臨床データ(年齢、BMI、血中好酸球数、呼気NO値、増悪回数)をもとに教師あり機械学習を行うことで、喘息患者の気流閉塞の急速進行1秒量低下)をAUC0.85の精度で予測できた。実用化によって、早期の治療介入が必要な喘息患者を同定でき、重症化を防ぐための先制治療につながる。3つ目の技術では、喘息質問票(AsthmaControlQuestionnaire-5:ACQ-5)のデータを用いて教師なし機械学習を行うことで、症状から喘息病態である気流閉塞、2型気道炎症、増悪リスクを推定できた。従来、治療選択のため病態評価には専門的検査が必要だが、本技術ではACQ-5に含まれる喘息症状の評価のみから、個々の喘息の病態に応じた治療選択(個別化治療)につなげることができる。本技術は、発展途上国、過疎地域、プライマリケアの現場など、医療環境が不十分な地域で、適切な喘息治療薬の選択を支援できる。ひいては、医療格差の是正につながる可能性が期待できる。本研究で開発したAI技術の実用化によって、臨床現場における副作用管理、先制医療、個別化治療を支援する。これによって、健康寿命の延伸、医療費抑制を目指す。同時に、開発したAI技術によって専門医療の一部を補完することで、医療従事者の業務負担軽減と、医療格差の是正均てん化につながることが期待できる。
Creators
濱田 和希
Languages
jpn
Resource Type
doctoral thesis
File Version
Version of Record
Access Rights
open access