Prefrontal activity during the emotional go/no-go task and computational markers of risk-based decision-making predict future relapse in alcohol use disorder
Title
情動顔go/no-go課題中の前頭葉機能および不確実状況下での意思決定課題を用いたアルコール使用障害者の退院半年後の再発予測研究
Prefrontal activity during the emotional go/no-go task and computational markers of risk-based decision-making predict future relapse in alcohol use disorder
Degree
博士(医学)
Dissertation Number
医博乙第1107号
(2023-05-17)
Degree Grantors
Yamaguchi University
[kakenhi]15501
grid.268397.1
Abstract
目的:アルコール使用障害(Alcohol use disorder: AUD)は治療後も再発率が高く再発を予測する患者の要因は確立されていない。AUDでは衝動制御障害、実行機能障害および意思決定障害が報告されているため、本研究ではそれらを用いてAUDの予後予測因子を前方視的に明らかにすることを目的とした。
方法:20歳から70歳までの入院中のAUD患者41名を対象とした。入院中に、①情動顔go/no-go課題(衝動制御課題)および言語流暢性課題(実行機能課題)中の脳血流活性化の指標である酸素化ヘモグロビン積分値を機能的近赤外分光法(functional nearinfrared spectroscopy: fNIRS)を用いて測定し、さらに②不確実な状況下でのリスク選好課題(意思決定)を行った。退院後6ヶ月の再発の有無を主要アウトカムとした。
結果:退院後、24名(58.5%)が断酒を継続し、17名(41.5%)が再飲酒した。断酒群に比べて再飲酒群では、①情動顔go/no go課題における右前頭側頭領域の活性化が有意に低下し、②意思決定課題では有意にリスク追及的であった。断酒群でのみ、右前頭側頭領域の活性と渇望尺度の間に負の相関が観察された。さらに、退院後6ヶ月の飲酒の有無を従属変数とし、年齢、AUD重症度、発症年齢、右前頭葉領域の酸素化ヘモグロビン積分値及び意思決定課題でのリスク選好の5つの独立変数を用いた2項ロジスティック回帰分析を行い、各独立因子の再発への影響を検討した結果、右前頭側頭領域の酸素化ヘモグロビン積分値が小さいほど(オッズ比=0.161、p=0.013)、またリスク追及傾向が強いほど(オッズ比=7.04、p=0.033)再発リスクが増加することが示された。
結論:右前頭側頭領域の情動刺激に対する脳血流活性化の低下と、リスク追及傾向が、AUDにおける退院6か月後の再発を予測し得る可能性が示された。
方法:20歳から70歳までの入院中のAUD患者41名を対象とした。入院中に、①情動顔go/no-go課題(衝動制御課題)および言語流暢性課題(実行機能課題)中の脳血流活性化の指標である酸素化ヘモグロビン積分値を機能的近赤外分光法(functional nearinfrared spectroscopy: fNIRS)を用いて測定し、さらに②不確実な状況下でのリスク選好課題(意思決定)を行った。退院後6ヶ月の再発の有無を主要アウトカムとした。
結果:退院後、24名(58.5%)が断酒を継続し、17名(41.5%)が再飲酒した。断酒群に比べて再飲酒群では、①情動顔go/no go課題における右前頭側頭領域の活性化が有意に低下し、②意思決定課題では有意にリスク追及的であった。断酒群でのみ、右前頭側頭領域の活性と渇望尺度の間に負の相関が観察された。さらに、退院後6ヶ月の飲酒の有無を従属変数とし、年齢、AUD重症度、発症年齢、右前頭葉領域の酸素化ヘモグロビン積分値及び意思決定課題でのリスク選好の5つの独立変数を用いた2項ロジスティック回帰分析を行い、各独立因子の再発への影響を検討した結果、右前頭側頭領域の酸素化ヘモグロビン積分値が小さいほど(オッズ比=0.161、p=0.013)、またリスク追及傾向が強いほど(オッズ比=7.04、p=0.033)再発リスクが増加することが示された。
結論:右前頭側頭領域の情動刺激に対する脳血流活性化の低下と、リスク追及傾向が、AUDにおける退院6か月後の再発を予測し得る可能性が示された。
Creators
佐々木 順
Languages
jpn
Resource Type
doctoral thesis
File Version
Version of Record
Access Rights
open access