Evaluation of corneal hysteresis after pars plana vitrectomy combined phacoemulsification and intraocular lens implantation
Title
水晶体再建術併施の硝子体切除術後における角膜ヒステリシスの評価についての研究
Evaluation of corneal hysteresis after pars plana vitrectomy combined phacoemulsification and intraocular lens implantation
Degree
博士(医学)
Dissertation Number
医博甲第1672号
(2023-03-16)
Degree Grantors
Yamaguchi University
[kakenhi]15501
grid.268397.1
Abstract
角膜の剛性を表す生体力学的指標の一つとして角膜ヒステリシス(CH)があり,CHは眼圧(IOP)や中心角膜厚(CCT)などの影響を受け,眼球全体の剛性も反映することから,CH低下が緑内障の進行リスクとして注目される。一方で,硝子体は眼球を外力から保護する緩衝材としての作用があり,眼球の剛性に影響するが,硝子体とCHとの関連は明らかになっていない。本研究では硝子体切除がCHに与える影響を評価することを目的に,白内障単独手術と白内障手術併施硝子体切除術の術後早期のCHを比較した。白内障手術(PEA+IOL)を施行した18例20眼(PEA+IOL群),黄斑上膜あるいは黄斑円孔に対してPEA+IOL併施の経毛様体扁平部硝子体切除術(PPV)を施行した27例28眼(PPV triple群)を対象とした。術前,術後2週,術後3か月のCH,IOP,CCTおよびCHとCCTの相関関係について後ろ向きに検討した。CHは術前,術後2週,術後3か月で,PEA+IOL群において11.1±1.1mmHg,10.4±1.1 mmHg,11.0±1.0 mmHgであり,PPV triple群において11.0±1.4mmHg,9.8±1.4 mmHg,10.6±1.6 mmHgであった。CHはPEA+IOL群で術前後に有意差は認めなかったが,PPV triple群の術後2週で有意に低下していた。IOPおよびCCTは両群とも術前後に有意な変化は認めなかった。PEA+IOL群の全時点とPPV triple群の術前にはCHとCCTの正の相関関係を認めたが,PPV triple群の術後には相関関係を認めなかった。以上より,PPV triple手術ではIOPやCCT以外による要因で術後にCHが低下することが示され,硝子体切除が眼球の剛性変化をもたらしCH低下に寄与した可能性が考えられた。CHの低下は,外力や眼圧の影響を受けやすい眼球構造であると言えることから,PPV 術後のCH評価は眼圧管理の指標や緑内障の発症,進行リスクを反映する可能性がある。
Creators
太田 真実
Languages
jpn
Resource Type
doctoral thesis
File Version
Version of Record
Access Rights
open access