Autocrine TNF-alpha increases penetration of MAG antibodies across the blood-nerve barrier in anti-MAG neuropathy
Title
MAG ニューロパチーでは自己分泌TNF-αがMAG 抗体の血液神経関門透過を亢進させる
Autocrine TNF-alpha increases penetration of MAG antibodies across the blood-nerve barrier in anti-MAG neuropathy
Degree
博士(医学)
Dissertation Number
医博甲第1662号
(2023-03-16)
Degree Grantors
Yamaguchi University
[kakenhi]15501
grid.268397.1
Abstract
ミエリン関連糖蛋白 (myelin-associated glycoprotein: MAG) は,神経組織の髄鞘に局在する膜貫通糖蛋白であり,MAGに対するIgM型自己抗体 (MAG抗体) を有する患者では脱髄性末梢神経障害をきたす.末梢神経には血液神経関門 (blood-nerve barrier: BNB) があるために,通常は免疫グロブリンなどの大きな分子が神経内に侵入することはできない.しかし,MAGニューロパチー患者から採取した腓腹神経内有髄神経線維の髄鞘にはMAG抗体が沈着しており,MAG抗体はBNBを通過していることが想定される.MAG抗体のBNB通過機序を明らかにすることを目的に,MAGニューロパチー患者血清,ヒトBNB構成内皮細胞株と周皮細胞株,MAGニューロパチー患者から採取した腓腹神経検体を用いて解析を行った.MAGニューロパチー患者血清を作用させた内皮細胞に対して,全RNAトランスクリプトーム解析と免疫染色を用いたハイコンテントイメージング解析を行い,NF-κBの活性化とTNF-αの発現増加を確認した.次に内皮細胞と周皮細胞を共培養したBNB in vitroモデルで透過性を解析した.
MAGニューロパチー患者血清を作用させた結果,10 kDaデキストランやIgGの透過性を変化させることなく,IgMやMAG抗体の透過性を亢進させ,TNF-αの中和抗体を添加することでIgMやMAG抗体の透過性は抑制された.電子顕微鏡による観察ではMAGニューロパチー患者の腓腹神経内でBNBを構成する微小血管の密着結合は保たれており,内皮細胞内に多数の小胞が確認された.MAGニューロパチー患者では,MAG抗体はBNB構成内皮細胞の自己分泌TNF-αの増加を介して内皮細胞質内をトランスサイトーシスの機序により通過していることが示唆された.TNF-α阻害薬は既存の薬剤であり,本研究結果から,TNF-α阻害薬によるMAGニューロパチー患者への新たな治療戦略が期待される.
MAGニューロパチー患者血清を作用させた結果,10 kDaデキストランやIgGの透過性を変化させることなく,IgMやMAG抗体の透過性を亢進させ,TNF-αの中和抗体を添加することでIgMやMAG抗体の透過性は抑制された.電子顕微鏡による観察ではMAGニューロパチー患者の腓腹神経内でBNBを構成する微小血管の密着結合は保たれており,内皮細胞内に多数の小胞が確認された.MAGニューロパチー患者では,MAG抗体はBNB構成内皮細胞の自己分泌TNF-αの増加を介して内皮細胞質内をトランスサイトーシスの機序により通過していることが示唆された.TNF-α阻害薬は既存の薬剤であり,本研究結果から,TNF-α阻害薬によるMAGニューロパチー患者への新たな治療戦略が期待される.
Creators
佐藤 亮太
Languages
jpn
Resource Type
doctoral thesis
File Version
Version of Record
Access Rights
open access