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Endoplasmic reticulum stress promotes nuclear translocation of calmodulin, which activates phenotypic switching of vascular smooth muscle cells

DT11101661_Abstract.pdf
[abstract] 3.5 MB
DT11101661_FullText.pdf
[fulltext] 8.72 MB
Title
小胞体ストレスがカルモジュリンの核内移行を促進することにより、血管平滑筋細胞の形質転換を引き起こす
Endoplasmic reticulum stress promotes nuclear translocation of calmodulin, which activates phenotypic switching of vascular smooth muscle cells
Degree 博士(医学) Dissertation Number 医博甲第1661号 (2023-03-16)
Degree Grantors Yamaguchi University
[kakenhi]15501 grid.268397.1
Abstract
小胞体ストレスの増加は、動脈硬化において血管平滑筋培養細胞(VSMCs)の形質転換(分化→脱分化)と強く関連している。小胞体のCa2+貯蔵量減少は、VSMCs における小胞体ストレスの増加の主要な原因の一つである。リアノジン受容体(RyR)は筋小胞体膜上に存在する主要なCa2+放出チャネルである。正常細胞の安静状態ではカルモジュリン(CaM)はRyR と結合し、RyR を閉鎖した状態で安定化させている。CaM とRyR の結合が減弱すると、RyR から異常なCa2+漏出が起こり、Ca2+貯蔵量が減少し、小胞体ストレスが増加する原因となり得る。そこで我々は、マウスのVSMCs を用いてRyR に結合しているCa(CaM-RyR)が小胞体ストレスにより引き起こされるVSMCs の形質転換に重要な役割を果たしているか否か、また、CaM-RyR の結合親和性を高める作用を有するダントロレン(DAN)がVSMCs の形質転換に影響を与えるか否かを評価した。
小胞体ストレスによりCaM がRyR から解離し、核内へ移行することにより、MEF2 とKLF5 の核内での発現量が増加し、このMEF2-KLF5 のシグナル伝達経路が活性化することでVSMCs が形質転換(分化→脱分化)し、増殖能や遊走能を有するようになり動脈硬化巣の形成や不安定化につながるという新たな知見を得ることができた。さらにCaM-RyR の結合親和性を高めるDAN は、RyR チャネルを安定化させ、異常なCa2+漏出を抑制し、小胞体内のCa2+貯蔵量を保持することで小胞体ストレスの増加を抑制し、さらにCaM の核内への移行を制御することで、MEF2-KLF5 経路の活性化を抑制し、その結果としてVSMCs の形質転換を抑制することが示され、動脈硬化巣の進展化、不安定化に対する全く新しい治療戦略となり得る可能性があることが示唆された。
Creators 内田 智之
Languages jpn
Resource Type doctoral thesis
File Version Version of Record
Access Rights open access
Relations
[references] 10.1016/j.bbrc.2022.08.069