Integrated analysis of transcriptome and histone modifications in granulosa cells during ovulation in female mice
Title
マウス顆粒膜細胞の黄体化過程における遺伝子発現とヒストン修飾の統合解析
Integrated analysis of transcriptome and histone modifications in granulosa cells during ovulation in female mice
Degree
博士(医学)
Dissertation Number
医博甲第1647号
(2022-03-16)
Degree Grantors
Yamaguchi University
[kakenhi]15501
grid.268397.1
Abstract
(目的)排卵期の黄体形成ホルモン(LH)サージは、顆粒膜細胞(GCs)において、遺伝子発現や細胞機能の急激な変化を引き起こし、黄体化を誘導する。本研究では、黄体化過程のGCsにおける遺伝子発現の経時的変化と、エピジェネティックな遺伝子発現制御機構に着目し、ゲノムワイドに黄体化過程の遺伝子発現と細胞機能変化を明らかにすること、および遺伝子発現制御や細胞機能変化とヒストン修飾H3K4me3変化の関連性を明らかにすることを目的とした。
(方法)幼若雌マウスにeCG-hCG注射による過排卵刺激を行い、hCG投与前、投与後4時間、12時間の時点でGCsを回収し、RNAシークエンスとH3K4me3抗体を用いたChIPシークエンスを行った。
(結果)RNAシークエンスにより、多数の発現変動遺伝子が同定され、遺伝子発現の時間的変化に応じて8つのパターンに分類された。多くの遺伝子は、hCG刺激後4時間で一過性に発現上昇または低下していた。これらの遺伝子群に関連する細胞機能をGene Ontology解析で調べたところ、ステロイド産生、排卵、卵丘細胞複合体の膨化、血管新生、免疫、活性酸素代謝、炎症反応、脂質代謝、オートファジーが同定された。さらに、DNA修復と細胞サイズの増大という2つの機能がこれまでに報告されていない細胞機能として同定された。ChIPシークエンスにより、黄体化過程ではゲノム全域にわたってH3K4me3が急激に変化し、遺伝子発現に関与することが示唆された。mRNA発現データとH3K4me3のデータを統合解析したところ、H3K4me3はステロイド産生、排卵、COCの拡大、血管新生、炎症反応、免疫、活性酸素代謝、脂質・糖代謝、オートファジー、細胞サイズの調節などに関与することが示唆された。
(結論)LHサージ後の黄体化過程にあるGCsにおいて、遺伝子発現はゲノムワイドに変化し、細胞機能が劇的に変化する。H3K4me3の変化は、これらの急激な遺伝子発現制御に関与し、種々の細胞機能を調節することでGCsの黄体化に寄与する可能性が示された。
(方法)幼若雌マウスにeCG-hCG注射による過排卵刺激を行い、hCG投与前、投与後4時間、12時間の時点でGCsを回収し、RNAシークエンスとH3K4me3抗体を用いたChIPシークエンスを行った。
(結果)RNAシークエンスにより、多数の発現変動遺伝子が同定され、遺伝子発現の時間的変化に応じて8つのパターンに分類された。多くの遺伝子は、hCG刺激後4時間で一過性に発現上昇または低下していた。これらの遺伝子群に関連する細胞機能をGene Ontology解析で調べたところ、ステロイド産生、排卵、卵丘細胞複合体の膨化、血管新生、免疫、活性酸素代謝、炎症反応、脂質代謝、オートファジーが同定された。さらに、DNA修復と細胞サイズの増大という2つの機能がこれまでに報告されていない細胞機能として同定された。ChIPシークエンスにより、黄体化過程ではゲノム全域にわたってH3K4me3が急激に変化し、遺伝子発現に関与することが示唆された。mRNA発現データとH3K4me3のデータを統合解析したところ、H3K4me3はステロイド産生、排卵、COCの拡大、血管新生、炎症反応、免疫、活性酸素代謝、脂質・糖代謝、オートファジー、細胞サイズの調節などに関与することが示唆された。
(結論)LHサージ後の黄体化過程にあるGCsにおいて、遺伝子発現はゲノムワイドに変化し、細胞機能が劇的に変化する。H3K4me3の変化は、これらの急激な遺伝子発現制御に関与し、種々の細胞機能を調節することでGCsの黄体化に寄与する可能性が示された。
Creators
白蓋 雄一郎
Languages
jpn
Resource Type
doctoral thesis
File Version
Version of Record
Access Rights
open access
Relations
[isVersionOf]
https://doi.org/10.1210/endocr/bqab128
Funding Refs
Japan Society for the Promotion of Science
[crossref_funder]https://doi.org/10.13039/501100001691
Award
The distal upstream region of insulin-like growth factor binding protein-1 enhances its expression in endometrial stromal cells during decidualization
16K20191
Funding Refs
Japan Society for the Promotion of Science
[crossref_funder]https://doi.org/10.13039/501100001691
Award
Elucidation of the transcriptional network centered on the master gene activated by decidualization of human endometrial stromal cells
17K11239
Funding Refs
Japan Society for the Promotion of Science
[crossref_funder]https://doi.org/10.13039/501100001691
Award
Mechanisms by which C/EBPb inducues genome-wide H3K27ac during decidualization of human endometrial stromal cells
18K09230
Funding Refs
Japan Society for the Promotion of Science
[crossref_funder]https://doi.org/10.13039/501100001691
Award
転写因子WT1による子宮内膜間質細胞の脱落膜化と脂質代謝制御機構の解明
20K09645
Funding Refs
Japan Society for the Promotion of Science
[crossref_funder]https://doi.org/10.13039/501100001691
Award
エピゲノム情報の統合解析による顆粒膜細胞の黄体化に伴う遺伝子発現制御機構の解明
20K18191
Funding Refs
Japan Society for the Promotion of Science
[crossref_funder]https://doi.org/10.13039/501100001691
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オルガノイド法を用いたミニ子宮内膜作成と子宮内膜再生医療の展開
20H03825