Bulletin of Clinical Psychology Service Center, Graduate School of Education, Yamaguchi University

山口大学大学院教育学研究科附属臨床心理センター

PISSN : 1884-6467
NCID : AA1248190X

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    • 本論文は2022年9月10日に実施した,日本人間性心理学会第41回大会自主シンポジウムでの発表内容を加筆修正したものである。当日は押江が企画者および話題提供者を,上西と田中が話題提供者を,髙橋が指定討論者を務めた。これは,デジタルトランスフォーメーション(DX)時代における人間性心理学の位置づけや今後の課題を議論するものである。
      Oshie Takashi Uenishi Hiroyuki Tanaka Hideo Takahashi Noriko
      PP. 3 - 18
    • 本研究は質問紙調査により挫折体験の意味づけとフォーカシング的経験および外傷後成長(Post-Traumatic Growth,以下“PTG”と表記)との関連を検討するものである。パス解析の結果,(1)フォーカシング的経験のうち「体験過程の受容と行動」はPTGを促進すること,(2)挫折体験の意味づけのうち「同化」はフォーカシング的経験の「間が取れている」と「体験過程の確認時間・空間の確保」,「体験過程の受容と行動」を促進し「体験の感受」を抑制すること,また(3)挫折体験の意味づけのうち「調節」は「体験の感受」と「体験過程の受容と行動」を促進すること,(4)人は挫折体験を経験した際,「同化」と「調節」の両方を体験しがちであることが示された。以上より「同化と調節の振り子モデル」が提示され,調節のみならず同化も有機体の実現傾向のあらわれとして位置づけうること,また一見進んでいないようにみえるクライエントのプロセスを受容することが,結果としてプロセスを進めることにつながるうることが示唆された。
      Oshie Takashi
      PP. 3 - 14
    • 浅田 千馬
      PP. -
    • 本研究の目的は,文献をもとに「育児困難感」と「育児不安」の用語の整理を行い,今後の支援に繋げる視点を得ることである。検討の結果,「育児困難感」は,実際の母親を取り巻く要因の中で,母親が子どもと対峙することで「母親自身が困っている」状態を示すものと考えられた。また「育児不安」は「育児における漠然とした不安」であり,疲労感や抑うつ状態が生じる可能性や,具体的な対象や問題がない場合でも生じることが考えられた。また「育児困難感」は「相手(子ども)への感情」であり,「育児不安」は「母親自身の不安」であり,2つは質的に異なると考えられ,「育児困難感」と「育児不安」の高低をもとに,5つのタイプに分類を試みた。
      Kasuga Yumi
      PP. 27 - 36