The philosophical studies of Yamaguchi University

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The philosophical studies of Yamaguchi University Volume 20
published_at 2013-03-23

Kitarō Nishidas Studie über das Gute : Betrachtung der philosophischen Begriffe der Anschauung und Intuition -

直観の哲学としての西田幾多郎『善の研究』
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1.38 MB
C070020000005.pdf
Descriptions
西田幾多郎の哲学をその予備知識を持たない西洋人に理解可能な仕方で提示するには、その思想を西洋の伝統的思想の中に位置づけることでその特性を説明することが有効であろう。本稿はこのような問題意識のもとに、彼の最初の主著であり、その全哲学の出発点をなした『善の研究』の中心概念である純粋経験の概念を検討する。そしてこれを西洋的伝統における直観に対応するものであることを確認し、最終的にはこの著作を西洋的意味での直観主義の哲学として定義することを目指す。まず西洋認識論における直観(直観的認識)と論証的認識の区別を確認する。次に『善の研究』第一編がこの意味での「直観」の哲学、具体的には、理論体系的な観点から「直観についての哲学」、方法論的観点から「直観としての哲学」であることを見る。最後に『善の研究』第二編における純粋経験の哲学を検討し、同書の哲学は最終的には第一編の意味での直観の哲学として理解されるべきであることを結論とする。第三、第四の両編は第一および第二編の思想の応用と考えられるので、本稿では扱わない。付記:本稿は2011年9月5日から9日までドイツのヒルデスハイム大学で開催された第一回国際西田会議「20世紀哲学における西田幾多郎」での発表原稿に若干手を加えたものである。基本的な内容は拙稿「西田幾多郎『善の研究』における純粋経験について」(『山口大学哲学研究 第16巻』、山口大学哲学研究会編、2009年、所収)、およびミュンヘン大学に提出された筆者の博士論文 Einfluss der Monadenlehre von Gottfried W. Leibniz auf die Philosophie von Kitarō Nishida?(München 2005)の一部に対応する。