Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University. Natural science

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Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University. Natural science Volume 16 Issue 2
published_at 1967-03

Finite Groups and Projective Planes.

有限単純群と有限射影平面の構成
Ishida Hiroshi
Nagai Osamu
Descriptions
1.有限個の元からなる群(有限群)を全部数えあげることは古くから問題にされていた。有限群は単純群から構成することができるというシュライヤーの群の拡大の理設が出て,問題は有限単純群を数えあげるということになった。今まで知られている有限単純群は6個の例外を除いて無限列をなしている。例えば,n個の文字の上の置換群で交代群とよばれるもの(n≧5),有限体の上の特殊一次分数変換群LF(n,q)のように自然数nを与えるとそれ対しにて単純群がきまる。有限単純群がどの無限列に属しているかということを判別する問題を分類問題という。単純群の分類問題は既に数年前から始められている。それは極小単純群の分類問題で,部分群が全部可解であるような単純群は今まで知られたもの以外にない,という形で解かれた。この結果はトンプソンという若い数学者によって証明され,近く発表の予定であるが500頁に及ぶ大論文である。その論法に不備な個所があってヤンコがそれを補正して,同時に新らしい孤立した単純群を見つけた。これで,今までに知られていた5つの例外の群(マシューの群)とで合計6つの例外と呼ばれるものができた。これらが無限列の一端をのぞかせたものなのか,全く孤立したものなのかは不明である。有限単純群Gが与えられたとしょう。Gの構造は単純群であるという以外には何も分ってはいない。それを何らかの方法で分類しょうとするのだから,よい特徴をつかんで場合を分けて議論する以外にない。どう分類を始めるかが問題である。部分群が全部可解という条件で始められた分類は成功したが,単純群を部分群にもつ単純群もあるわけで,その分類については未解決である。ここでは,単純群に対して有限な幾何を構成して分類の足がかりにしょうという試みについてのべよう。このことは既に数人の人が始めていて,ある意味で成功している。群Gの群論的性質を用いて,何らかの形で幾何を構成して,Gをその幾何の変換群と考えるのである。その幾何はどんな幾何でもよいのだが,今の所都合のよいのは有限射影平面とよばれるものである。以下群Gから射影平面を構成する一つの方法を紹介しょう。2.定義と記号群Gとは次の4つの性質をもつ集合である:1)Gの任意の二つの元a,bに対してそれを結合することがただ一通りの仕方でできて,その結合したものがまたGの元である。結合した元をaとbとの積とよびa・bで表わす。2)Gの任意の三つの元a,b,cに対して