Journal of East Asian studies

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Journal of East Asian studies Volume 5
published_at 2007-03

The orientation of income security in rural China : study on applicability of co-operative insurance of Japan

中国農村部における生活保障の方向性 : 日本の共済事業の適用可能性の検討
Wang Yanli
Descriptions
改革解放後の中国では、高度経済成長が持続している。しかし、経済成長が立ち遅れている農村部ではさまざまな問題を抱えている。特に、農地の請負制度の実施にともない、従来農民が依存していた末端組織の人民公社は解体され、農業従事者は集団組織に頼ることができなくなった。その結果、農地の生産経営、家庭生活、養老生活はさまざまなリスクにさらされ、個人で対処しなければならなくなった。この問題に対し、国家は援助を行っているが、財源不足のため、大きな限界が見られる。2006年7月4日、中国国務院貧困削減事務局副主任の王国良の発言によると、毎年、自然災害により貧困に陥った農民は1,000万人を超える。これに対し、国家統計データによると、2004年中国の貧困人口は2,900万人であり、ほぼ総貧困人口の三分の一を占めていることが明らかになっている。また、病気や、老齢により貧困状態に陥る事態もしばしば発生している。本稿では、現代中国農民に関わる各種リスクを分析し、また、これに対処する国の援助政策を論述し、その限界を指摘した。また、保険企業は農村保険を行う場合、コストが高く、長年に渡り、農村部に浸透できなかった。そこで、本稿では農村における保険事業の未開発問題を解決するために日本の共済事業の導入が有効であると提言した。この事業の導入により、農村部の生産性、生産力は向上し、農村部の家族養老機能を支援し、農民が安定的な経済生活を実現できる。また、都市部の農村部との経済格差が縮小するなどの効果を期待することができる。さらに、共済年金の構築は、個人の自助努力により老後生活保障を達成することができると考えている。(以下、略)