Journal of East Asian studies

The graduate school of east asian studies, Yamaguchi university

PISSN : 1347-9415
NCID : AA11831154

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Journal of East Asian studies Volume 21
published_at 2023-03-01

Effects of behavioral consultation with a daytime temporary support service facility staff had burnout tendency and intention to retire

バーンアウト傾向を有し離職意向を示していた日中一時支援事業所職員に対する行動コンサルテーション実践の効果
Ueda Takahiro
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1.77 MB
東アジア研究_第21号-005.pdf
本研究では、日中一時支援事業所において、クライアントの支援等について悩みを抱え、離職の意向をも示していたコンサルティに対して行動コンサルテーションを実施した。研究開始前のコンサルティは、自身の業務や支援に関して否定的な発言が多く見受けられ、支援に対する自信を失っている状態であった。特に帰宅準備行動に滞りの見られたクライアントへの支援に頭を悩ませていた。また、離職意向も示していたことから、支援遂行自体に嫌悪感を伴っているとも考えられ、少しでも不安や負担感を感じてしまった場合は、支援実施自体を忌避してしまう可能性があった。そこでコンサルタントは、面接回数を最小限としたり、クライアントの行動記録を敢えて実施しない等、コンサルティが負担感を抱かないよう配慮を行った。加えて、「傾聴」と「共感」、そして「肯定」を念頭に置いた言動を徹底して心掛けつつ、コンサルティとの面接を行い、①スケジュール表を作成し、実施した項目に「○」をする、②帰宅準備行動が出来たらほめる、以上の2点の支援を提案した。また、コンサルティとの小面接を4回実施し、コンサルティの支援実施に対して肯定的なフィードバックを積極的に行った。さらにコンサルティの上司に対しては、小報告会において、コンサルティの支援実施に対して肯定的なフィードバックをするよう依頼した。その結果、コンサルティはクライアントへの支援を実施、継続することができ、これに伴ってクライアントのスムーズな帰宅準備行動が生起するようになった。またコンサルティから自身の業務や支援に対して非常に肯定的な発言が連発するようになった。さらに、離職の意向を取り消すまでに至る等、行動コンサルテーションがクライアントの行動上の課題解決のみならず、コンサルティのバーンアウト傾向の軽減、離職防止にも効果がある可能性が示された。