Journal of East Asian studies

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Journal of East Asian studies Volume 18
published_at 2020-03

The “Chao Wei”(朝位) space in Qin and Han dynasties : the place of the “imperial court ceremonies” which scolds the honor of noble

秦漢時代の「朝位」空間 : 「貴賤の等を辨ず」る「朝儀の位」
Nie Ning
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D300018000003.pdf
Descriptions
空間にある位置はイデオロギーの次元において、概念を実体化するための基礎の一つである。人間世界の権力構造はしばしば空間的なパターンで具象化・可視化されている。「朝」空間にある位置そのものが権力構造を反映していると言える。さらに、「朝」空間の役割を果たすために不可欠なのは、「朝位」である。秦漢時代の「朝位」の上下・南北・東西・居中・内外の関係は、「朝」にいる人々の貴賤・尊卑を反映していた。上層「朝位」空間にあるのは皇帝位である。これは朝位によって「君臨」を可視化するのである。「南面」・「北面」する朝位は君・臣の身分を表現していた。「南面」する皇帝位は親政している皇帝専用の朝位である。太后臨朝期の太后位は西にあり、太后が尊敬される身分を表現し、少帝位は東にあり、少帝の「朝」の主人的身分を反映していた。且つまた、文官と武官の朝位が明確に区分され、前者が東に、後者が西に配置されていた。「朝位」空間の全体を検討すると、諸朝位の中には「居中」位が実際に存在していたことがわかる。この「居中」区画には、帝国の君主位・帝国の准君主位・君主に拝謁する位があり、全て帝国の君主に関連していた朝位である。「居中」の諸朝位を連結して線にすれば、「朝」空間の中軸線が現れる。加えて、「朝位」は「貴賤の等を辨」(『周礼』夏官司馬)じて人々の身分を顕示する役割を果たしていた。「朝位」の内外の関係は、人々と皇帝との遠近を示し、皇帝との親疎の程度を反映し、帝国にとっての重要性を顕示していた。すなわち、秦漢時代の「朝位」空間は、「朝」に所在する人物が、他人にとっていかなる関係にあり、帝国にとっていかなる価値を有しているかを示すものであった。