Journal of East Asian studies

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Journal of East Asian studies Volume 1
published_at 2002-12

The determinants of international investment location decisions : an analysis of Japanese affiliated establishments in Chana

日本企業の対中進出の立地選択と決定要因
Dai Erbiao
Descriptions
本研究は、1992年と2000年の二時点の中国における業種別日系企業の地域分布の特徴と変化を考察し、1992年以前と近年の両時期に進出した日系企業の立地選択の決定要因を分析した。主な分析結果は次のように要約できる。(1)本格的対中進出が始まった1992年までは、日系企業の立地選択の最重要な決定要因は「地域の対日関係」であった。これは、人脈関係を重視する日本式経営の一側面を反映しているとともに、情報コストとコミュニケーションコストの節約要因が多くの不確定性に直面する国際投資の初期段階の立地選択における重要性を証明している。(2)近年では、「地域市場規模」と「所得水準」要因の立地選択に与える影響が顕著に強まり、中国の経済成長につれて日系進出企業の市場戦略は単純な輸出指向型から輸出指向と現地市場指向の混合型へ変化していることを示している。(3)業種によって、立地選択の決定要因にも違いがある。「資源稟賦」要因と「中枢港との距離」要因は農林水産業や食品製造業に、「地域市場規模」要因と「所得水準」要因はサービス業、卸・小売業、建設・不動産業及び近年の製造業に、それぞれ強い影響を与えている。また、電機機器製造業をはじめとする製造業に対しては、両時期のいずれにおいても、「外資系産業集積度」要因の影響が大きい。(4)地域の労働賃金や不動産価格など投入要素価格要因が、日本進出企業の立地選択に与える影響はあまり大きくない。