Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University

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Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 60
published_at 2011-01-31

Effects of forced running training on spatial learning and memory in ovariectomized rats

強制走行運動トレ-ニングが卵巣摘出ラットの空間学習・記憶能力に及ぼす影響
Kumagai Masahide
Ozaki Akina
fulltext
1020 KB
C010060000319.pdf
Descriptions
本研究では、閉経モデルである卵巣摘出ラットを用いて、トレッドミルによる強制走行運動トレーニング(分速20m/分、1日60分、週5日、8週間)が、モリス水迷路試験を用いて評価した空間学習・記憶能力に及ぼす影響について検討した。実験には10~12週齢のウイスター系雌ラット24匹を用いた。そのうち卵巣摘出手術を施した16匹を、運動トレーニング群(OVX+Ex群)と非運動トレーニング群(OVX群)に分けた(それぞれ8匹ずつ)。また、残りの8匹は、卵巣の摘出は行わない偽手術を施し、コントロール群(Cont群)とした。主な結果は以下のとおりである。1.モリス水迷路試験の5日間の学習獲得テストにおいて、プラットホームまでの到達時間および平均遊泳速度は、各群の間で有意な差は認められなかった。2.5日間の学習獲得テストにおいて、1日目と2日目以降のプラットホームまでの到達時間を比較したところ、Cont群およびOVX+Ex群においては、2日目以降、到達時間の有意な短縮が認められたが、OVX群においては、3日目以降で有意な短縮が認められた。3.モリス水迷路試験で記憶の保持を評価するプローブテストにおいて、学習獲得テストでプラットホームが存在していたゾーンにおける滞在時間比率は、各群の間で有意な差は認められなかった。以上の結果から、本研究では、卵巣摘出ラットの空間学習・記憶能力の低下やそれに対する強制走行運動トレーニングの抑制効果は認められなかった。しかし、学習獲得テストにおいて、初日との成績を比較した場合、OVX群に比べて、Cont群およびOVX+Ex群の方が成績の向上がみられるまでの日数が短いことから、卵巣摘出による空間学習・記憶能力に対する影響やそれに対する強制走行運動トレーニングの効果という点については、今後さらに検討する必要があると考えられる。